>>498 「お、お兄ちゃん……」
「こおら。また一人でいじいじと悩んでたな?」
お兄ちゃんはお日様みたいににこっと笑って、お姫様だっこした私の体を軽々と揺らした。
今度こそ私は悲鳴を上げて、お兄ちゃんの首に抱きついた。
「お兄ちゃん、お、降ろして。恥ずかしいよぅ……」
「ダーメ、これは考えすぎの初音ちゃんへの罰だから、もうしばらくこのまんまの刑」
「うう、だって……」
すると、お兄ちゃんはちょっと真面目な声で言った。
「ねえ、初音ちゃん――初音ちゃんは優しいね。とってもとっても優しい女の子だ。
いつだって初音ちゃんはひとのことを考えてて、優しくしてくれる。……でも、その
優しさが、時折俺には寂しく思えるよ」
「さみしい……?」
「うん。だって、俺は初音ちゃんの「彼氏」なんだからさ――」
お兄ちゃんはそこでちょっと言葉を切った。
私を抱く手に力がこもった。