葉鍵板最萌トーナメント2回戦Round99!!

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315琉一
悪初音&あゆ支援SS『今日もたい焼きはまったりうまい』

「おら、おらぁ!」
 今日も今日とて、悪初音は傍若無人。
 そんな彼女に、どかんと思いっきりぶつかったりしたら、ただで済むはずがない。
 が、どかんと、
「うぐぅ〜〜っ!」
 ぶつかってしまうどじっこはいた。
「てめぇ、なにしやがる!」
 悪初音にぶつかってきたのは、羽根のついたリュックを背負った変な少女。
 手には袋一杯のたい焼きを抱えている。
「うぐぅ〜〜、どいてって言ったのにぃ」
「言ってねーぞ」
「うぐぅ、ごめんなさい」
「ああ? 人にぶつかっといて、そんなもんで済むと思っているのか?
 なんだかうまそうなもん、持ってんじゃねぇか、一つよこせや」
「うぐぅ……これはボクの大好きなたい焼きだけど、一つあげるね」
 しばし二人は、たい焼きを頬張る。
「なかなかいけるじゃねぇか」
「でしょ? この屋台のたい焼きは、ボクのお薦めなんだよ」
 その時背後から聞こえてくる、「待てー」という声。
「はっ! 追っ手が来た!」
「追っ手ぇ? お前、一体なにやらかしたんだ?」
「ちょっとお金が足りなかったから、明日払うつもりで黙って持って来ちゃったんだよ」
「そりゃあ、万引きじゃねぇか」
「借りただけだよ。でもおじさんは、許してくれないんだ……」
「ふふん。なかなか見所があるじゃねぇか。よし、あたしに任せな」
「助けてくれるの?」
「おう。いいか、お前は全力で、捕まらないように逃げろ。
 一時間したら、ここの公園に来な。で、そのたい焼き屋台はどこだ?」
316琉一:02/01/18 06:17 ID:AFCMlsHi
「これこれここなんだよ」
「よし。おい、親父! たい焼き食い逃げ犯は、ここにいるぞ!」
「うぐうっ! 裏切られたっ!」
「おうっ、待ちやがれ! 嬢ちゃん、ありがとよっ!」
「なぁに、いいって事よ」
 悪初音は唇についたアンコを、ぺろりと舌で拭った。
 一時間後。
「うぐぅ……なんとか逃げ切れたよ……」
「おう、遅かったじゃねぇか」
「ああっ! ひどいよ、裏切るなんて! どうして……そ、それはっ!」
 なんと悪初音は、件のたい焼き屋台を引いていた。
「へへっ、これさえあれば、いつでもたい焼き食い放題だぜ」
「うぐぅっ♪ ホントだね! これでもう、黙ってたい焼きをもらわずにすむよっ!」
「追いかけられる心配もないな!」
「じゃあさっそく作って食べようっ!」
「おうっ!」
「却下(一秒)」
 いつの間にか現れた、水瀬秋子さんが、神速の却下術を見せる。
 その後ろには、柏木千鶴さんと耕一も並んでいた。
「初音……、今ならいたずらですむから、返しに行きましょう」
「そうだぞ、いくらなんでも、屋台を取られたら、おじさんが困るだろ」
「なにいっ! あたしは、このうぐぅが困らないようにと……」
「ていっ!」
 千鶴さんの当て身が、見事に悪初音に決まった。
「さ、返しに行きましょう。あゆちゃん」
「うぐぅ……ごめんなさい」
 こうしてたい焼き強奪事件は、未然に(?)防がれた。
 だが、この世に悪初音のいる限り、些細な事件のネタに困ることはない。
 頑張れ悪初音。および、たい焼き屋の親父。