>>124 居間に座ってテレビを見ていると、お盆にお茶を二つのせた初音ちゃんがエプロン
姿のまま入ってきた。
「嬉しいな、お兄ちゃんとおるすばん」
「お料理はもう終わったの?」
「うん、あとは弱火でじっくり煮るだけだから……はい、おにいちゃんお茶だよ。熱いから気を付けてね」
「あ、ありがとう」
俺はテレビの画面を見ながら手を伸ばしお茶を受け取ろうとして――
お茶を差し出してくる初音ちゃんの手に強くぶつかった。
ガチャン、バシャッ!
「うあちちちちっ!」
こぼれたお茶が手のひらにかかって、俺は思わず悲鳴を上げた。
割れた茶碗を中心に、テーブルの上にもうもうと湯気が立ち上る。こりゃまたずいぶんと熱いお茶だ。
「おっ、お兄ちゃん大丈夫!? はいタオル!」
「サンキュー……って、初音ちゃんの方がひどいじゃんか!」
おそらくぶつかった手の勢いの違いだろう。お茶はむしろ初音ちゃんのほうにたくさんこぼれていた。
タオルを差し出す初音ちゃんの手も、エプロンも、スカートにもお茶のしぶきがかかってうっすらと湯気を上げていた。
「うん……大丈夫、私は平気だよ。だからお兄ちゃんが先に――」
「大丈夫なもんか! 俺のことこそどうでもいいから、ほらエプロン脱いで」
タオルを手に立ち上がり、初音ちゃんの隣に移動する。
続け