由起子さんの妄想で1000レスめざすスレ

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65ふじい00
私は見つける。押入れの奥に眠っていたそれを。
「懐かしい…」
それは、一冊の古ぼけたアルバム。
私と浩平の、過去を切り取った物だ。
私はそれを手に取り、そのページをめくる。
その中には、浩平がこの家に来てからの、さまざまな出来事があった…

              「思い出アルバム」(4レス)

初めて浩平がこの家に来た時の事は、今でもはっきりと思い出す。
あの時の浩平は、みさおちゃんが亡くなった事で、すごく塞ぎ込んでいた。
私もあの時は、みさおちゃんの死が悲しいのと、まだ若かった事もあって、浩平をなぐさめる事
が出来なかった。
浩平は毎日、自分の部屋に閉じこもっては、泣き続けた。
私は、浩平の事が心配だったけれど、これから浩平も食べさせなければならない事もあって、仕事
に打ち込んだ。
いや、それは言い訳だったのかもしれない。
みさおちゃんの死、そして、それによって塞ぎ込む事になる浩平を、なぐさめる事が出来ない自分か
ら逃げたくて、仕事に打ち込んだのだ。
浩平には申し訳ない事をしたと思う。
私が、もう少ししっかりとしていたら、もう少しちゃんとしていたら、浩平の悲しみは、少なかった
のではないか。そんな事を思う。
でも、ある日を境に、浩平は少しずつではあるが、本来の自分を取り戻し始める。
後で知った事だが、近所の女の子、長森瑞佳ちゃんが毎日、浩平の事を心配して会いに来てくれた
そうだ。
その、瑞佳ちゃんと3人で撮った写真をじっと眺める。
ありがとう、瑞佳ちゃん。
私はふと、感謝の言葉を口にする。
66ふじい00:02/02/06 20:49 ID:eZ833ovs
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そこには、もう今と変わらず、明るくやんちゃになった浩平がいた。
この頃の浩平は、もうそれは手に負えないぐらい元気で、色々いたずらもした。
まあ、パンツおろし、だけは、さすがに厳しく注意したが。
その頃の私も、今と同じで仕事が忙しくて、ゆっくりと浩平に構ってあげられる事がなかった。
だから、たまの仕事の休みの日には、出来るだけ浩平と一緒にいるように努めた。
だが浩平は、休みの日にはほとんど外へ遊びに行っていたので、結果として、あまり浩平を構って
あげることは出来なかった。
私は、嬉しさ半分、寂しさ半分でその頃を思い出す。
ふと、一枚の写真に目が止まる。
それは、浩平と一緒に、一度だけ行った遊園地の写真。
浩平は、笑顔で写真に写っている。
アイスクリームを頬に付けながら、楽しそうに、色々走り回っている。
私は、その浩平の笑顔を見て、少しだけ自分の事を誇らしく思える事が出来た。

次のページ…
浩平が、中学に入学した時の写真。
制服姿の浩平は、少しだけ大人びて見えた。
この頃の浩平も、いたずらばかりして、よく学校から呼び出されたものだ。
でも、この頃の浩平はもう、泣く事は少なくなっていた。
小学生の時は、みさおちゃんの事を思い出すのか、雨の日は寂しそうにしていたのを思い出す。
だが、一度だけ、中学生になって一度だけ、私の前で泣いた事があった。
詳しいきっかけは分からなかったが、学校の友達の間で、姉妹の話が出たそうだ。
その時の浩平の泣き顔を見て、私は自分を責めた。
浩平は、もう大丈夫だとばかり思っていた自分を。
もう浩平は、完全に吹っ切っていたとばかり思っていた自分を。
私の胸に顔を埋めて、悲しそうな顔をする浩平を見て、私は浩平をきつく抱きしめる。
その時から私は、浩平を見守っていく事を決めた。
たとえ仕事が忙しくて一緒にいる時間が少なくても、たまにしか話が出来なくても、浩平を見守り
続けようと。それが、私が決めた、私と浩平との関係。
67ふじい00:02/02/06 20:50 ID:eZ833ovs
次のページ…
浩平の中学卒業と、高校入学の写真。
瑞佳ちゃんと一緒に、笑顔で写っている。
その頃は、浩平ももう立派に成長してくれていた。
自分が浩平に対してしてあげることも、これからはもっと少なくなるだろう。
少しだけ嬉しくて、少しだけ寂しい。
でも、もし、少しでも迷う事があるなら、昔を思い出して、悲しくなる事があるなら、その時は、
私に相談して欲しい…
そんな事を思いながら、その写真を静かになぞる。

次のページ…
そして、今の浩平…
最近の浩平は、だれか彼女が出来たらしく、よく女の子を家に連れて来ているようだ。
私がいないからといって、ばれていないと思っているのかしら?
浩平の部屋を掃除しに行くと、布団や服が綺麗にたたまれている。
浩平がそんな事をするはずないから、誰か、大切な人がしてくれているのだろう…
やっと、浩平にそんな大切な人が出来たと思うと、私は、少しほっとしたような、寂しくなる
ような、そんな不思議な気分になる。
女の子、泣かせちゃ駄目よ、浩平。
あの子は、根は優しいのに、素直じゃないから、それが心配。
でも、浩平なら、ちゃんとやっていけるだろう…
私はそう思うと、そっとそのアルバムを閉じる。
「ただいまーっ」
「お邪魔します」
浩平がだれかを連れて、家に帰ってくる。
「おかえり」
私は返事をする。
「あ、由起子さん帰ってたんだ。今日は早いね」
「お邪魔します」
「こんにちは…」
68ふじい00:02/02/06 20:52 ID:eZ833ovs
私は、笑顔で浩平と浩平の大切な人を出迎える…



シリアス系になってしまった(^^;
最初はもっと明るい話書くつもりだったんですが…
うーん、書いてる時に聞いてたBGM(AIR)の影響かなw

由起子さんて、ゲーム中ではなんか浩平を放っている印象があるけど、そんな事はないと個人的には
思っています。
だって、みさおが亡くなって、お母さんがいない浩平を引き取って育てたんですから。
小学生の子を育てる苦労、自分だって若いのに(推定20歳前後w)、もう一人分の生活費だって
稼がないといけない、そんなのを全部ひっくるめて浩平を引き取ったんですから。
だから、その辺を補完できる(ように頑張ったw)物語を書いてみました。
皆様の心に、何か残ってくれるといいのですが…。

後、一応どのヒロインでも対応できるように書いたのですが、しゃべれない澪には対応できません
でした(T_T)。澪ファンの方、申し訳ない…。
澪ファンの方は、セリフの部分は澪の心の声、と脳内補完して下さいw。では。