44 :
ふじい00:
久しぶりにゆっくりと出来る休日。
そして今日は、親戚の秋子さんが、私の家にジャムを作りに来ている。
秋子さん特製のジャムみたいなので凄く楽しみ。
でも・・・
「な、何を入れてるんですか!秋子さん!」
「ええ、家ではいつもジャムを作るときはこうなんですよ」
「ほ、本当ですか?」
秋子さんが冗談でやっている風には全然見えない。いや、冗談でもこんな物、ジャムに(というか
食べ物に)入れるのだろうか・・・。
「今日は由起子さんに食べて欲しくて、特別にこんなのまで入れちゃいます!」
「え・・・私が食べるんですか?それ」
「嫌ですか?」
「い、いえ、そ、そういう訳では・・・」
ジャムの不思議なにおいが台所に充満する。
秋子さんは料理がすごく上手って聞いてるけど・・・
もしかしたら、私が知らないだけで、もしかしたらおいしく出来るのでは・・・?
一縷の望みを抱いて私は、秋子さんのジャム作りを見守る。
「今日は特別に、最後にこれを入れちゃいます」
「ううっ、それ、食べれるんですかー」
「大丈夫ですよ。きっと」
・・・きっとって・・・・・・
「さあ、後はジャムが冷えるまでゆっくり待ちましょうか」
「え、ええ」
私はその時、言い知れぬ悪寒を感じ、なんとかその場をやり過ごす事を考える。
「そ、そうだ。浩平。浩平に味見してもらいましょう!」
「浩平さん?由起子さんの甥っ子さんの?」
「そ、そうです。あの子、ジャムに目がないんです。き、きっと、喜びます」
・・・許して浩平。
私は心の中でそう呟く・・・