思い出した。
和樹とフォークダンスを踊る約束をした。
いや違う。看板描きをひとりでやらせてしまったことのお詫びに、ファイヤーストームに付き合ってあげる。正確にはそういったのだ。たぶん。
和樹はそれに何と答えたのかは、覚えていない。
が、それはどうでもいいことだと瑞希は思った。和樹は今ごろ、どうせ大志や猪名川さんあたりと一緒にフォークダンスの輪を眺めているのだ。
グランドをぐるっとひと回りすれば見つかるだろうし、一緒に何か食べてもいいし、一緒に花火をしてもいいし、もし、もし気が向いたらフォークダンスの輪に引っ張り込んでやってもいい。
どうせ和樹は尻込みするだろうから、そのときは思いっきりからかってやる。
もし麗奈に何か言われたら、こう言ってやればいい。
だって仕方がない。そういう約束なんだから。
お詫びなんだから。