「けんたろ…今魔法使っても大丈夫かな…?」
「大丈夫。人目もないから」
「じゃあ、今日も頑張って接客するよっ♪」
彼女が両手を上げ、呪法を詠唱する。
それと同時に彼女の体が光り輝き、味気ないサマードレス姿から見目麗しい
バニースーツ姿へと変化する。
程なくして、お客が店に入ってきた。
「いらっしゃいませ。五月雨堂へ」
入店すると同時に、彼女は満面の笑みを浮かべて挨拶する。
俺の名は宮田健太郎。
いきなり親に休学届を出されて、骨董屋の経営を全面的に任された事を除いては
至って普通の大学生だ。
…いや、居候が一人いるという点も除かなきゃな。
居候の名はスフィー。
今、接客に勤しんでいる女の子だ。
女の子…というより、幼女と表現する方が正確か。
コイツがが俺の店で働いているのにはワケがある。
俺は空から降ってきたコイツと衝突するという、文字通り衝撃的な出会いを果たした。
それだけならまだしも、その時俺はどうやら死んでしまったらしい。
スフィーとの衝突のショックで。
まあ、一時しのぎとはいえコイツが使者を蘇生させる魔法を俺に施し、その魔法の
効果が完璧な物になるまではお互いの手首につけた『腕輪』を通して魔法力を送り
続けてくれるのだから、悪質なひき逃げ犯よりはマシだろう。
尤も、俺が完全に生き返るまでは家の仕事も手伝ってくれるというし、俺としては
助かっているのだが。
…居候に殺された挙句、ゾンビ状態になる事を余儀なくされ、あまつさえ生殺与奪をも
握られた家主というのも珍しいだろうが…。
ありゃ?
誤爆、漏れがウイルスだね。。
逝ってきます・・・
数日後。
俺はスフィーの微妙な変化に気付いた。
例のごとくバニースーツ姿になって接客するスフィーの胸がこころなしか大きくなって
いるように見えるのだ。
客足が途絶えた頃を見計らって俺はスフィーに話し掛ける。
「なあ、スフィー。お前の胸…大きくなってないか?」
「うん♪ けんたろを完全に生き返らせるために送り込む魔法力と、毎日の仕事に使う
魔法力の余りが、少しずつわたしを本来の姿に戻してるんだ」
「本来の姿って…21歳だったっけ?」
「うん♪ けんたろにも見せてあげたいな」
「…」
「どしたの? けんたろ?」
「いや…なんでもない」
深夜。
スフィーはまだ幼いせいか、全然夜更かしをしない。
だから俺は一人で今日の売上の計算をノートに書き綴る。
「う〜む。スフィーが店を手伝ってくれて始めてからは随分売り上げが上がったな…」
一人ごちる俺の脳裏に、幼いスフィーの無邪気な、満面の笑顔が掠める。
「スフィー…できれば…このまま…俺と一緒に…」
そう。俺はスフィーを…。
半角二次元て角煮板が略称になったのか。
うまそうだな(w
翌日。
「ふあぁ〜、おはよ、けんたろ…って、きゃっ!!」
「スフィー!」
俺はスフィーが驚くのに構わず、その華奢な肩を鷲掴みにする。
「スフィー…お願いだ。今…今ここで接客をするときのバニースーツ姿になってくれ」
「いいよ♪」
一瞬にしてパジャマ姿からバニースーツ姿へと変わるスフィー。
「その服…脱いでくれ」
「えっ? まあ別にいいけど。ちゃんと後ろを向いててくれる? けんたろ」
「ああ! わかってる!!」
外見が幼いのと同様、精神年齢のほうも低いのだろう。
スフィーは特に躊躇することなく、バニースーツを脱ぎ始める。
「でも…この服、どうするの?」
「ああ、そこらへんに放っておいて。今度は掃除をするときのメイド服になってくれ」
「いいよ」
今度はフリルも可愛らしいメイド服姿へと変身するスフィー。
「でも…けんたろ、なにしてるの?」
「いいから。その服も脱いで、今度は店を整頓する時の体操服姿になってくれ」」
「う、うん…でも…」
「でも?」
「あんまり魔法を使いすぎると…疲れちゃう…」
確かに先ほどに比べ、スフィーの顔色も悪くなり、体も小さくなっている。
「今日はこれが最後だから。頑張ってくれ」
「うん…」
今度はフトモモを丸出しにしたブルマも眩しい、体操服姿へと変身するスフィー。
「こ…これ…で…いいの…かな…けんたろ…」
「最高だよ。スフィー。じゃあ服を脱いで…」
「ふぁ、ふぁ〜い」
スフィーはふらふらしながら体操服を脱ぎ、俺に渡す。
( `Д´)<稲垣氏すとも高子は氏せず!
「ありがとう、スフィー。今夜から新しい五月雨堂の開店だ」
俺はスフィーを布団に寝かせながら礼を言う。
実を言うと、独身男性が住んでそうなアパートやマンションにビラをばら撒いてある。
『純真無垢な少女の使用済み衣装を厳選して取り揃えました』
『バニースーツ。メイド服。体操服。そのスジの方満足間違いなしの品揃え』
『ブルセラショップ・スフィー、今夜開店』
『昼間営業の骨董店においては衣装を生産する彼女の姿も存分に御覧いただけます』
『特にロリータの方へ。自身を持ってお勧めできます』
『つるつるでぺったんな(以下略)』
と銘打ったビラを。
翌日。
俺は無許可で『その手の店』を経営したという理由で警察へ連行されるハメになった。
『幼女虐待』のおまけ付きで…。
『衣装も骨董品だ』という俺の反論に耳を貸す様子もなく。