158 :
名無しさんだよもん:
SS投稿します。今の時間帯なら大丈夫かな。ちなみに投票済みです。
「青年、君は妹がいたな」
ADの仕事が終わって一息ついていると、例によって英二さんが
声をかけてきた。
「はぁ……いるにはいますけど」
「いや、同じ妹を持つ身として、なんかこう妹話に興じたくなってな。
……迷惑か?」
「いえ、とんでもないです。
でも、俺の妹って別に普通ですよ」
「ふーん……今でも遊んだりするのか?」
「まあ、実家に帰ったらトランプとかしますけど」
「へえ……そういや子供の頃さ、お医者さんごっことかしなかったか?」
「ああ、やりましたねー」
「だろ? あれって照れるよなあ」
緒方英二と交わす何とも自然な世間話。
……だがちょっと待て。
「英二さん、今いくつでしたっけ?」
「え? 俺? 二十八」
「理奈ちゃん、確かこの間二十になったばかりじゃ……」
お医者さんごっこなんてするには歳が離れすぎているだろう。
「え? そうか? えーっと、確かやったのは理奈が六歳くらいだから……」
アンタ、中学生で六歳の妹を……。
俺のツッコミにも関わらず、英二さんは回想モードへ突入した。
159 :
名無しさんだよもん:02/01/13 12:57 ID:TDRLh8jW
(英二14歳 理奈6歳)
「ねえねえ、お兄ちゃーん」
「なんだ、理奈か……。何だよ」
ま、当時の俺は中学生だから、そろそろべたべたと甘えてくる妹が
無性に鬱陶しくなってきたところだったんだよ。
だから、まあ割合理奈と遊ぶことがあんまりなくなってきたんだよな。
向こうが遊ぼ遊ぼって言ってきても「テストがあるから」でとりあえず
誤魔化してたんだけど。
「お母さん、お兄ちゃんがてすとだなんてうそだっていってたもん!」
……俺の母親はそれも計算に入れていたって訳だ。
部活でもやっていれば良かったんだろうが、生憎と俺はその手のことが
大層苦手だったもんでな。
で、まあこの時は「あーあ、面倒っちぃなあ」って感じで
「しゃあない、遊んでやるよ」
って言ってしまったんだよ。
で、何して遊ぶかーって聞いたら、
「えーとね、おいしゃさんごっこ!」
これだ。
俺はあの時素でコケたぞ。
「ダメだ、ダメだ、ダメダメ、絶対ダメ!」
「……だめ?」
「ダメーー!」
「…………ぐす」
うわ、ヤベえと思ったね、あの時。
遅く産まれた分、両親の理奈の溺愛っぷりは半端じゃなかったからな……。
泣いたら、理奈は間違いなく母親か父親にチクる、すると俺が怒られる。
俺としては、まあ――。
「わー、分かった分かった、お医者さんごっこ、やってあげるから、な?」
そう言うしかなかった訳だ。
「じゃ、まず理奈がお医者さんやるね!」
……はあ。
俺は両親がハイキングに出掛けていてしばらくは戻らず、
おまけに雨なので、お医者さんごっこをやるのは室内だという奇跡に深く感謝した。
俺は馬鹿馬鹿しいなあとか思いつつ、理奈の部屋でごろりと横になった。
とりあえず、俺は患者なので寝なきゃいけないらしい。
「じゃ、はだかになってくださーい」
俺は渋々と上半身のシャツを脱いだ。理奈がふんふん、と言いながら手でとんとんと
俺の胸を叩く。
「いじょーはないみたいですよー。……えーっと」
ぱふ。
理奈が俺の胸に耳を押し当てた。どうやら、心臓の音を聞いているらしい。
妙に冷やっこい理奈の耳が、やけにくすぐったかった。
「んー、どっくんどっくんいってるからだいじょうぶでーす」
「ありがと」
「ねんのため、おねつをはかりますねー」
どこから持ち出してきたのか、理奈は俺の口に体温計を無理矢理ねじこんだ。
「ふが、ふが」
十秒もたたずに俺の口から体温計が引っ張り出された。
「えーっと、おねつは……ありませーん」
「なあ、熱以外は何か調べないのか?」
ふと疑問に思って、そんな事を聞いてみた。
「え? えっと、えっと、おねつをはかってぇ……それで……」
理奈がおたおたする。
「おねつをはかって……」
「もう、終わろうぜ。どうせそれ以外知らないんだろ」
俺が起き上がると、理奈が必死に俺の腕を引っ張ってそれを拒む。
「だめだめ! お兄ちゃん、りなとあそぼうよ!」
目尻に涙を溜めて、んな事言われたらさすがに俺も躊躇われた。
「……はあ、分かったよ」
パッと理奈の顔が輝いた。正直、最近あんまり理奈と遊んで
なかったから、ちょっとばかり罪悪感があったのも事実だし。
「じゃ、じゃあ、おにいちゃんがおいしゃさんになって!」
……。
……。
……。
ただ、これは予想外の展開だった。
理奈は俺を起こすと、ぱっと寝転んで、わくわくしながら、
こっちの瞳を見つめている。
「……」
俺はあんまりの急展開に、理奈をどうしたらいいものか、
途方に暮れた。
すると、俺の沈黙を勘違いした理奈が
「あっ、ふくぬがなきゃいけないんだ!」
って言って、ぱっと自分のワンピースを脱いでパンツ一枚の姿になった。
……青年の視線が気になるから、念のため言っておくが、
欲情はしてなかったからな。
第一まだ六歳だぞ、壮絶な幼児体型だぞ、胸なんかちーとも無くて、
おなかだけがぷっくり膨らんでいるんだぞ、楽しかないだろ、これだと。
で、わくわくしながら理奈が俺を待っている訳だ。
俺は仕方なく理奈の腹をとんとーんと指で叩いた。
「いじょうないですか?」
「はい、無いですよー」
俺はいいかげんにそんな事を言って、体温計を取り出そうと……。
「あ、おにいちゃん、ちゃんとしんぞうのおともきいて」
……マジですか。
俺は渋々と、理奈の胸にそっと耳を当てた。
――何も聞こえないや。
仕方ないので、そっと耳を動かす。
ほんのわずかな桜色の突起に耳が擦れた。
「はぅっ……えっとぉ、きこえますかー?」
「あー。聞こえる聞こえる」
とくんとくんという小さいが確実な心臓の音が聞こえる。
……心なしか、少し激しい気がするが。
「も、もういいよぉ」
と、理奈が言うので、俺は耳を離した。
「えっと、せんせえ、どうでしたか?」
「あー、ちょっと心臓の音が早い気がした」
理奈がびっくりした表情で、俺を見る。
「だって……おにいちゃんのみみがね、おっぱいにあたったら、
どきどきしちゃったの」
――鼻血が出るかと思った、一瞬。
「ま、まあ、それなら大丈夫だよな。
えっと、次は何をすればいいんだ?」
「えーっと、おねつはかって?」
「あ、ああ……じゃ、この体温計加えて」
はむはむ、と理奈が体温計を加えた。
俺は十秒くらい経ってから、温度も見ずに
「はい、大丈夫」
といいかげんに請け負って、お医者さんごっこは終わった。
……ら、良かったんだがなあ。
「おにいちゃんおにいちゃん、りな、びょうきかもしれないの?」
理奈が突然そんなことを言い出したんだよ。
「は、病気?」
俺の知る限り、理奈は一度も病院にかかったことすらない、
健康優良児だったはずだが。
「だって、おしりが……おにいちゃんのおしりとちがうんだもん」
そう言って、理奈がぺろりとパンツを脱いでしまってなあ。
それでこちらに背中を向ける、理奈の真っ白い尻が丸出しだ。
「ぐすっ……おにいちゃん、これ、なおるのかなあ……」
……理奈、心配しなくても蒙古斑は成長すれば治るから。
「心配しなくても、大人になれば治るよ」
「ほんとっ!? わーい、おにいちゃん、だいすき!」
そう言って理奈が素っ裸のまま、上半身裸の俺に飛びついて頬に
キスしてきた。
おいおい、と思いつつも腕に柔らかい生物の躰がしがみついている
と考えると、多少の興奮は抑えきれなかった訳で――。
「……ほえ? おにいちゃん、なんかコブができてるよ」
と、不思議そうに俺の股間を見つめると手でさすってきた。
「うわ! おい、それはダメだ!」
「え? でも、ここ、いたくない?」
そう言いながら、一生懸命さするものだから――まあ、ますます
股間がヤバくなるわな――ってだから何だその目は青年!
「だから、ダメ、だって……」
「おにいちゃん、かわいそうだよぉ……」
涙目でそう言いながら、理奈がふーふーと息を吹きかけながら両手で
さすってくるんだぞ!
今の俺なら跳ね除けられるんだろうが、当時の俺は14歳、青臭い
若者だったからな……。
だから、ズボンのチャックを開けられても抵抗しなかった。
「おにいちゃんのおちんちん、へんなかたちー」
理奈が笑いながら、まあ、俺のその、何だ、アレを引っ張り出して
きてな……少女の好奇心は恐ろしいと改めて思ったよ。
で、俺のナニのてっぺんを「いたいのいたいのとんでけー」って
言いながら撫でるものだから、痛いわくすぐったいわ。
――で、ちょっと出ちゃったんだよ、ほら、いわゆる先走り液ってやつが。
きょとんとした顔で理奈が聞いた。
「……おしっこ?」
「い、いや、違うって、これは……」
「あ、おしっこじゃないんだ」
そう言いながら、くんくんと鼻で匂いを嗅いで――ぺろりと舐めたんだ。
「んー……おいしくない」
――だから、当時は若かったんだよ! その目は止めてくれ青年!
多分、理奈にとっては腕についた血をぺろりと舐めるのと同じような感覚
だったんだろ。
俺にとってはえらい大事だったがな。
「んー……とまらないね」
そう言って俺のナニを両手でしっかり握り締めると、また一生懸命
舐めるんだコレが。
耐えたぞ、俺は耐えたんだって、結構。
えーと……五分くらい。
――だから、当時は若かったんだって……。
で、理奈の顔にもろに出しちゃったんで慌ててティッシュで顔を拭いて、
石鹸で顔を洗わせた。
親が帰ってきて「ん? 理奈、顔洗ったの?」と聞いた時は心臓止まるか
と思ったよ……全く……。
まあ、理奈のお陰であれ以来どーも、“おしゃぶり”系にはダメになって
しまってな。理奈の顔がチラついて勃たんのよ、ちっとも。
ん? 何だ青年、その「かわいそうだけどあしたの朝にはお肉屋さんの
店先にならぶ運命なのね」ってかんじの目は。
え? 後ろ? はっはっは、まさか理奈が居るって言うんじゃない
だろうなって…………。
「あら、兄さん、話は終わった?」
……うわあ、理奈の顔が真っ赤だ。
羞恥と憤怒の入り混じった大魔神のような感じ。
「みんなー、私、これから、兄さんとちょっとお話しなきゃならないから、
スタジオから出て行ってくれない?」
――あ! こら! 俺を置いていくな! おい! あ、ヒデえ、青年まで!
「兄さん、私たち、色々今後のことについて話し合わなきゃいけないと
思わない?」
「こ、今後って……何でしょうか」
「嫌だわ、決まってるじゃない」
理奈はにっこりと天使のような微笑を浮かべて――。
「火葬がいい? それとも土葬がいい? 何だったら宇宙葬でも構わないわよ」
「いやだあああああ、お助けくださいーーーーーー。
あと、宇宙葬って結局海中葬ってことじゃんかよーーーーーー!」
「どうせ灰は灰になるんだから、構わないでしょ。
さ、話し合いましょ」
――あれから英二さんはスタジオに姿を見せなくなった。
でも、誰も理奈ちゃんにそのことを質問する人間はいない。
特に。
あの後血まみれのスタジオ衣装で戻ってきた理奈ちゃんを見た人間は――。
とりあえず、英二さんには児童ポルノ法というものを真剣に考えてもらいたい。
<終>