767 :
オガタリーナ230:
「どうぞ」
頬をぬぐって理奈が答えると、扉が開き、入ってきたのは
理奈の予想もしない相手だった。
「あ、あなたは……」
「よっ、調子はどうや」
一回戦の相手……保科智子。
「なんや、妙に辛気臭い顔しよってからに」
智子が笑って言う。
「え、そんなことないわよ、大丈夫」
理奈もなんとか微笑んで答えた。
「でも、どうしてここに?」
「ん、ちょっと頼まれたんや。あんたのお兄さん、
英二さん言うたっけ? 応援に来てくれー言われてなあ」
「兄さんが?」
たとえトップアイドルと言われるようになっても、やはり
英二とって理奈は可愛い妹には違いないらしい。
「それに、由綺ちゃんにもな」