520 :
じゃあ2の場合:
「待って」
俺はシーツに包まったまま、彼女を引き止める。
「……? どうしたの、冬弥くん」
「そのまま」
美咲さんがきょとんと首を傾げる。
「美咲さんの膝枕で眠りたい、俺」
「……!」
美咲さんは、これ以上ないくらい真っ赤になった。
だが、俺は美咲さんの手を取ると、強引に俺の元へ引き寄せる。
それから、呆然としている間にさっさと彼女の太股に顔を埋めてしまった。
枕とはまた異なる柔らかさが、俺の眠気を刺激する。
おまけに……なんか……いい……においがする……。
「あ、と、冬弥くん、やだ、ほんとに寝ちゃってる……ど、どうしよ……。
で、でも、ちょっとくらいならいいかな……」
美咲さんのおろおろする声ですら、今の俺には子守唄だ。
「ふふ……冬弥くん、かわいい……」
んー……美咲さんの方がかわいい……。
「……やだ……わたしも……ねむたくなっちゃ……った……」
ところで日曜の朝っぱらから、この部屋を訪れる奇特な人間が
いたとしたら、幸せそうに下着姿の女性の太股に顔を埋める青年と、
これまた幸せそうに彼の頭を抱えて眠る女性の姿が目に映って、
顔をしかめたに違いあるまい。
<短いですが>