【レフキー共和国】
共和制を唱えながら王家を有する特異な国家形態を採っており、国家を構成する機関として共和国議会、魔術アカデミー、大神殿、商工ギルドなどの存在が確認されている。
軍事組織としては王立騎士団、騎士団の精鋭から選抜される王立特務部隊、衛兵隊などがあるが、このうち騎士団の魔術部隊はメンバーの不足により事実上解隊されている。
また、特務部隊は詠美と梓が外を自由に出歩けない詠美女王のストレス発散のため極秘裏に創設した部隊であり、非公然の存在……であるはずなのだが、主要な敵対組織には総じてその動向を把握されてしまっているようだ。
この国の王家は昔から子孫が絶える傾向があり、現女王は長い空位期間を経て外部から招聘された大庭詠美。芸術に、政治に非常な才人として知られ、その容姿も相まって国民の支持は非常に篤い。
女王を支える摂政兼衛兵隊長に柏木梓、執政官に牧村南、特務部隊のリーダーとして坂神蝉丸などの名がある。
◆首都レフキー
『人々の夢を奪いつつ、また同時に与え続ける都市。
夢を抱いた若者なら、必ず一度は訪れる都市。
この街を、昔から住んでる人々はこう表現する。
「全てが有り、そして全てが無い街」(ALL AND NOTHING)』
……その都市の名を、レフキーという。
<概観>
都市規模の拡大に応じ、次々と新たに築かれたいくつもの市壁により市街が分断された、典型的な発展過程にある大都市。
最外郭城壁の内外には広大なスラム街が続き、そこから都市中央に向かうに従って居住する人々の生活レベルも向上していくものと思われる。
共和国最大の港湾都市で大陸を東西に貫く海岸沿いの大動脈、レフキー街道上にあるとする描写もあり、このことから察するに港湾都市フィルムーンと同じく海に面した港町でもあるようだ。
陸運と海運、両方の重要な拠点である商業都市だと推測される。
<施設>
@王城
言わずと知れた共和国の心臓部。
内部には特務部隊の詰め所、個室、会議室などがあるが、特筆すべきは女王の寝室兼私室だろう。
この部屋は完全な防音と、完全な魔力封印がされている。この室内では魔法は決して発動しない。これは強大な空想具現化の魔力を持ち、描いたものすべてを実体化させてしまう詠美女王の力を抑えるための措置であり、女王は
この中でだけ絵を描くことを許されている。
@王立図書館
館長は、元王立特務部隊にその名を馳せた『鬼魔術師』、長瀬源之助。
その規模はあまりにも広大で、館長自身いったいどれだけのスペースにどれだけの蔵書が収められているのか知る由もない。
現在、地下30階まではその存在が確認されているが、それより下階は源之助が飽きてしまったため探検がなされていない。蔵書の中には悪魔憑きの書物などもあり、館内の散策はそれなりの危険が伴うようだ。
源之助の就任当初は荒れ放題だったが、この四年間弟子である長谷部彩が自発的に整理を続けてきたため、上層階はかなり整頓された状態になっている。
@たいやき屋
文字通りのたいやき屋台。初出では酒場だった。
良く食い逃げされるのは原作に同じ。
@武具屋兼宿屋
水瀬秋子女史の経営する、冒険者の集う宿屋。店名は未詳。
歓楽街からは多少離れた場所に店舗を構えており、冒険者向けとは思えない落ち着いたたたずまいを見せる。
そのためか、極めて品質の良い武具のオーダーメイドまで行える店でありながら、ここが冒険者の宿であると知るものはそれほど多くはないという、ベテラン御用達の宿となっている。
ちなみに酒類持ち込み禁止。
@酒場
名前はやはりエコーズか?
志保がよく訪れる、スラムの北側の酒場。店主はフランク長瀬。
@コスプレ喫茶「一喝」
裏通りの一角、娼館やストリップ小屋の類が立ち並ぶ通りにある酒場。
ピンクの照明に彩られた店内では、さまざまなコスプレをしたウェイターが客を接待する、通好みの風俗店。当然お触りもあり。
店長は芳賀玲子。
@盗賊ギルド
『闇の王国』と呼ばれる、表の法に保護されない人々を統括するギルド。
一説に、その構成員は王国の実人口の四割に達するとも言う。
最外郭城壁の外に広がるスラムの中に位置するギルドの外見は、非常に大きく不潔な酒場を装っており、中には王国の『衛兵』たる多数の手練れの盗賊、アサシンのたぐいが屯している。
『謁見の間』は酒場の最深部、新城壁の内部をごっそりと大きくくりぬいた、隠し部屋として存在しているが、ほとんどのものは存在は知っていてもその位置を知らない。
(注:くりぬいた城壁は原文では旧城壁跡だが、もっとも後に築城された最外郭城壁の外にあるからには旧城壁ではなく新城壁とした方が良いものと思われ)
@「祭」
お祭り好きで知られるレフキー市民が楽しむ祭りの一つ。
簡単に言ってしまえば、仲間や仕事を募る冒険者の腕自慢である。
そこには、腕前を見て仲間に誘おうとする者、仕事の依頼人、単なる見物客が集まり、さらには彼らを当て込んだ屋台や出店が軒を連ね、大道芸人や占い師などが芸を披露する。
腕試しに挑戦する冒険者の質が高ければ、結果として「祭」を開いた宿や酒場の評価も高くなった。
冒険者が多く集まるその性質上、荒れたり暴れたりすることも昔は多かったのだが、大庭詠美女王の命令で軍も積極的に祭の治安維持を行うようになり、近年「祭」としての質はより高まってきている。
@クルス商会
共和国でも有数の大商人。セリオやマルチを生み出した技術力を誇る。
詳細は未詳。
@他に、鍛冶屋として柏木耕一、宿屋の調理師柏木初音、町医者として石原麗子など。
◆旧都キスカノン
共和国五大都市の一つ。
旧都、という名から察するに、共和国の昔の首都なのだろう。
詳細不明。
◆港湾都市フィルムーン
共和国五大都市の一つ。レフキー最大の港町。旧帝国領。異文化の混じり合う街。
伝統的に独立志向が強く、古代に帝国への反抗と共和国への帰属、さらに王政復古した共和国との戦争という歴史を歩んでいる。
今も、市を見下ろす丘には当時抵抗の指揮を執った英雄の像が佇んでいるが、ある意味共和国への反逆の象徴とも言える彼の像が祀られていることこそ、市民の反骨心がいささかも失われていない証拠なのだろう。
「共和国最大の港町」というフレーズは首都レフキーも冠しており、競い合うような両者の関係にはこのような歴史的背景もあるのかもしれない。
なお、異文化の交わるこの都市では衝突も絶えず、そのためにあらかじめ武装を禁じることで、刃傷沙汰に発展することを避ける試みがなされている。
また、容易に海賊の襲撃を許すなど、重要港湾ながら共和国の海軍力が駐留している様子は(現在のところ)ない。
@市立自警団
市内の治安を守る自警団。
阿部貴之が隊長を務める。
@宮内貿易公司
ジョージ宮内が経営する海運会社。数多の貿易会社の存在するフィルムーンでも、一、二を争う規模を誇る。
登場時、帝国の港を出港した記述があることから帝国と共和国の間の海運も行っているようだ。
フィルムーン港湾に警備員詰め所を持ち、同市の無数の倉庫群のうち、第三倉庫はこの会社が借り切って(所有して)いる模様。
@相沢一家
相沢祐一キャプテン率いる、海の真ん中に浮かぶ島を根拠地とする海賊。構成艦艇はミラクルカノン号のみの模様。
史実の海賊主流の私掠船ではなく、特定の国家と契約を結ばない本当の意味での海賊である。
◆城塞都市オネシズ
共和国五大都市の一つ。
その名前から前線の軍事都市であると推測される。
詳細不明。
◆自由都市トゥエア
共和国五大都市の一つ。
詳細不明。
◆秘宝塔の村
『棄てられた秘宝塔』のある、共和国領内の辺境の村。
秘宝塔をのぞけば、街道に面しているのか旅人があるらしく、宿屋があるのが特徴のただの農村である。
@秘宝塔
数百年前、山奥に忽然と姿を現したと言う美しい化粧石に包まれた塔。
「塔には住民がいた。不思議な力を操りこの世に害を成す悪魔の住民である。
村は幾度となく悪魔たちから被害を受けた。困り果てた村人のところに、魔法使いが訪れる。
村人が困っていることを知った魔法使いは、悪魔たちが外に出れないよう結界を張る。
こうして、村に平和が訪れた…」
と伝わる。その内部には数多の『秘宝』が眠るとされるが、それを実際に手にしたものは今までのところ誰もいない。
十数年前、塔の住民の血を引く母子が塔に追われて以来災いが復活し、伝説を聞きつけた冒険者に静かな生活を破られるなど、村人にとっては災厄以外の何者でもない。
姿の見えぬ魔物が襲ってくるとされるその内部は、壁面を赤いウサギの絵で埋め尽くされた異様な光景が広がっている。
◆妖狐の里
首都レフキーの郊外にある「ものみの丘」と呼ばれる小高い丘、そのどこかにあるという尾の狐の隠里。
その里には人間界には見られない不思議なアイテムがごろごろしているというが、真偽不明。シェイプチェンジャーたちの隠里だという説も。
◆子鬼の森
共和国と帝国の国境地帯にあるらしい森林帯。
良質の材木が採れ、過去両国の争奪の対象となった。レフキー街道からは少々はずれた地域にある模様。
もともと子鬼種族の生息帯であったが、乱立する部族が近年統一傾向にあり、急速に勢力を拡大している模様。そのため対立する両国の勢威が及ばない空白帯となりつつあり、犯罪者の安息の地と化している。
【帝国】
軍事力では共和国を凌ぐ大国。
大河を挟んでレフキーと東西に相対するその国は、レフキー街道で結ばれた経済圏の一角でもある。
共和国には極めて敵対的で、幾度も戦火を交えたこともあり、現在も秘宝を巡って共和国領内に部隊を派遣するなど活発な軍事活動を展開しているようだ。
詳細は依然不明である。
◆城郭都市ニノディー
帝国貴族たる橋本辺境伯の治める国境の街。レフキー街道を牽制する軍事上の要衝。
帝国軍部隊が駐留しており、その指揮を執るのは吉井、松本、岡田の三銃士。
【レフキー街道】
共和国最大の港湾都市の名を冠した海岸沿いのこの街道は、大陸の東西交易の陸の大動脈であり、同時に大河を一つ挟んで対峙する共和国と帝国を結ぶ、軍事上の要路でもある。
古来、数多の旅人、冒険者、商人、そして軍隊が行き来したこの街道は、そんな東西対立もあって必ずしも安全な街道とは言えない。
平野部では街道上の都市から出る軍により治安が行き届いているが、山岳部や国境は亜人や賊の跳梁する危険地帯であり、夜間の強行軍は危険度が跳ね上がっている。
【キイ国】
遠野姉妹の出身国。
姉妹と橘慎介一行が、レフキー行きに際して帝国領を通過してレフキーへ向かうというコースを取っていることから、同国は共和国と直接国境を接していないことが推察される。
詳細は不明。
【詳細不明の土地】
◆FARGO宗団の本部のある街
信者たちは『全ての始まる街』と呼ぶ街。
その名の通り、FARGO宗団の本部が存在する。詳細不明。
◆魔法都市ホワール
魔術師たちの街と目されるが、詳細不明。
聖が現在いると目されている都市。
◆異国の街
みさき・雪見・聖・彰・しの姉妹・美坂姉妹の出身地。
中近東風というみさきの装束から考えて、帝国、共和国いずれにも属さない文化圏なのかもしれない。そのあたりに関しては、作中では現在のところ触れられていない。
東方に山一つ超えて、魔法都市ホワールが存在する。
@霧島診療院
街の規模には過ぎたほどの名医の診療院。
が、現在医師が先代今代ともに旅路についているため休業中。
◆高槻の治める地方
浩平と瑞佳の故郷。小坂由紀子が孤児院を経営する村。
高槻の領主就任から後、初夜権復活をはじめ暴政が敷かれているが、小坂女史の勇気ある抵抗、そして傭兵ギルドから篠塚弥生という才女が送られてきて以降さすがの高槻も気ままなまねができず、その治世も落ち着いているようだ。
共和国とも帝国とも取れる描写が混在し、位置不明。