葉鍵板最萌トーナメント2回戦Round85!!

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755MITUKI ◆XqniXHe2
 まだまだぁ! ……ってこれはちょっとヤバイか?(汗)

七瀬支援SSその7(1/2)

「『剣の暴君』(ソードタイラント)!!」

 裂帛の気合と共に、激しい衝撃波が走る。
 『狂戦士』七瀬留美の持つ、必殺の異能力。
 “暴君”の名が示す通り、すべてを破壊しすべてを無に帰すほどの威力で
あった。
 だがその猛々しい烈風も、対象となった少女を切り裂くことはできない。
 軽く舌打ちをし、手にした剣を構え直す留美。

「『剣聖』と称されるだけのことはあるということか」

 必殺の異能力を軽々とかわされたにも関わらず、留美の声音にはどこか嬉々
とした色が混じっていた。
 『狂戦士』七瀬留美が『剣聖』と称される少女――川澄舞を尋ねたのは、
正に剣を交わすためであった。
 初めて会う『剣聖』はひどく無愛想な少女であり、突然の手合わせの誘い
にも無言のまま応じた。
 そしていま、こうして殺し合っている。

「くっ!」

 無言のまま切りかかってくる『剣聖』
 その太刀筋も尋常ではなかったが、速度が常軌を逸していた。
756MITUKI ◆XqniXHe2 :02/01/04 05:38 ID:I0Hc2s2r
七瀬支援SSその7(2/2)

「ちょ、ちょっと、何なのよこのスピードはっ!」

 思わず叫びながら、それでも何とかかわしきってしまうあたり、『狂戦士』と
恐れられる七瀬留美の実力を物語っている。
 だがこのスピードである。このまま受けに回ればいずれ不覚を取りかねない。
 『剣聖』の駆る移動のための異能力。
 名前はない。
 『神歩行』(ブリンクスルー)という名が畏怖と共に異能者たちの間で語ら
れるのは、まだ後のことである。

「冗談じゃ…… ないわよっ!!」

 ぎぃぃん!

 甲高い音を立てて、留美の持つ刀が今正に振り下ろされんとしていた
『剣聖』の刀と交差する。そのまま後方に弾き飛ばされる『剣聖』。
 危なげなく着地するも、その瞳には驚きが見て取れた。
 自らの駆る移動用異能力の速度に反応し、あまつさえ剣の一振りだけで
弾き飛ばされたのだ。
 剣を構える『剣聖』の雰囲気が、常人には判断できないほど微妙に、変質する。
「やっと本気になったということね」

 楽しそうに。本当に楽しそうに、留美は呟く。
 そして自らも剣を構え直し、異能力を高めた。

 『剣聖』と『狂戦士』
 後に剣術における双璧と称されることとなる両者の戦いは。
 まだ、始まったばかりだった。