七瀬支援SSその2(3/3)
突然いなくなり、帰ってこないあいつ。
皆に忘れ去られ、もう私しか覚えていないあいつ。
今日、あいつは帰ってくる。
なぜそれがわかるのか、どうしてこんなに確信しているのか。
説明なんかできない。
ひょっとしたら、皆の言う通り、私はもうずっと前から狂ってし
まっているのかもしれない。
でも、きっとあいつは帰ってくる。私の元に、帰ってきてくれる。
帰ってきたら、真っ先にこう言おう。
「おかえりなさい、浩平。 ずっとずっと、待ってたんだよ」
そう、待っていた。ずっと。
家から持ってきた果物ナイフを握りしめ、微笑む。
今、私はどんな顔をして微笑んでいるのか。
もう、私自身、わからなかった。