七瀬支援SS(1/2)
「お待たせ、浩平」
水着に着替えを済ませ、波打ち際にパラソルを立てていた浩平に、
声をかける。
浩平ってば、立てかけのパラソルが傾くのも忘れて、ぽかんと馬鹿
みたいに口をあけて水着姿の私を見てる。
今年初めての海。
しがないOLの、しがないお給料を当てて新調した水着。
出費はちょっぴり痛かったけど、浩平のこんな表情が見れたんだから、
よしとしよう。
「ちょっと浩平、馬鹿みたいな顔してないで、何とかいったらどうなのよ?」
ちょっぴり意地悪く、聞いてみる。
学生の頃なら私も少しは照れただろうけれど。
いまさらねぇ……。
「きれいだ……」
「えっ!?」
思わず口をついてしまった。
そんな感じの浩平の言葉。
事実、今はあらかさまに「しまった」って顔をしてる。
てっきりいつもの憎まれ口が出てくると思っていた私は、完全に意表を
突かれてしまった。