トーナメントスレ#85-705〜707の続き
「ただいま―」
初詣を済ませ、俺たちは、俺たちの家へと帰る。
(実際にはまだ俺は秋子さんの家に住んでいるのだが。そのうち、ここで三人で住むことになる……はずだ)
「あ、暖房つけますね」
佐祐理さんは、ぱたぱたと駆けていき、暖房のスイッチを入れる。
程なく、部屋が暖かくなってくる。
その間に佐祐理さんがお茶を入れてくれる。熱いお茶をすすりながら、ひとごこちつく。
「ふう、生き返るなあ」
「外は寒かったもんですねー」
「うん。佐祐理さんもこんなに冷えて」
俺は、佐祐理さんの冷え切った手を、すかさず取る。
「温めてあげる」
ちょっと驚いたような表情をする佐祐理さんを横目に、佐祐理さんの手にはあっと息を吹きかけ、両手でさする。
「ん……温かいです…」
「……佐祐理、温める」
舞も、佐祐理さんの反対の手を取って、同じように温める。
玉を磨くかのように、優しく、柔らかく。
「そうだ、祐一さん。もうそろそろご飯にしましょうか? 今日は佐祐理と舞が腕によりをかけておせち作ったんですよ」
微笑みながら、佐祐理さんが言う。
「……ほとんど佐祐理がやった」
「舞も色々手伝ってくれたじゃないですかー」
「へえ、それは楽しみだなあ」
佐祐理さんの料理は、普段でも結構豪勢だ。今日のおせちなんかは、きっとすごく豪華なんだろうな。
ただ、すごく楽しみだけど、朝は秋子さんのおせちを一杯食べてきたから(秋子さんに勧められてついつい食べてしまった……)まだ、余りお腹は空いていない。
「だけど、まだ腹減ってないんだよな」
「ふえ、そうなんですか?」
「うん。朝食べすぎちゃって。だから今は別のもの食べたいな」
「なにを食べたいんですか?」
少し、顔を赤らめて佐祐理さんが聞く。分かってるくせに。
「佐祐理さんと、舞」
そのまま、俺は佐祐理さんに口付ける。
濃厚な、ディープ・キス。
「ぷはっ」
名残惜しいが、いつまでも唇ばかり味わっていても仕方ない。唇を離す。
お互いの間に、一条の銀糸が残る。
「………」
不満そうな顔で、舞は俺のほうを見つめる。
そんな舞にも、濃厚なキスを。
くちゅ、くちゅとお互いの口を貪り、そして唇を離す。
「嫌だった?」
「……相当嫌じゃない」
舞は、顔を赤らめ、俯き加減になって、そう答えた。