やる気が出ないのは吉沢さんのせい ONE2 part6
>>948 禿同
OHPで叩いてる連中は現鍵スタッフ以外のシナリオには絶対に満足しないのだろうな。
「前作の名前を継いでいる以上は」とかいった書き込みがやたらと目に付くし。
おのれらは一生鍵作品だけやってろと。
>>948 サポート掲示板見てもちょっと粗があると思いっきり噛み付いて来るし。
同情するよ>ONE2スタッフ
痛い奴らが多いOHP掲示板の中でもひときわでかい爆弾が…
>>952, 955
Baseonネタバレ30の者です。
私も「前作の名前を継いでいる以上は」みたいなこと言ってしまいましたが、
やっぱ痛い奴ですかね? 書込の 2/3 が愚痴なんで、
読み方によっては避難してるように見えるんじゃいかと心配なんですが……
>>956 多分あなたの事では無いと思うけど。
比較的好意的に書いてあるし。
もっと痛いのがたくさんいる(w
ちがうよ、あんたはまだいいほう
4つ上の奴が…
まとも。
つーか、漏れとしては「ONE」を冠してる云々以前に、
後半の書き込みが足りない気がした。
綾芽たんシナリヲはそれさえクリアーしてれば、漏れ的には前作超え。
確かに最後の方は早すぎたな
でもONEもそんな感じじゃなかった?
同人とかかなりの数出てるからそう思わないだけで
あと永遠の世界について説明が無いとか言う意見があるけど
前作のヒロインの立場からすればそんなもんだと思う
…なんか俺も痛い奴になって来た
>>942 見れました。ひとつだけ選択肢が違ったみたい。
どちらの事をきくのか、というところで先生じゃなくて久遠を選んだのが
だめだったみたいで。しかし、あらためて久遠に惚れ直したよ。
良かったね(。´Д⊂)。
>でもONEもそんな感じじゃなかった?
だから青山たんはわざと短くしたのかな〜ともオモタ。
でも、主人公が「待つ」以上、その辺の雰囲気をもっと出して欲しかったり。
最後に現れるのも、もうちょっと引っ張って焦らしてからで。
・・・だめぽ?
>>960 俺も足りない、早すぎると思う
いっそ削っても良いんじゃねぇ?
つーか、永遠の世界について説明が無いとか言うか
扱いがぞんざいすぎる
前作は中盤あたりからジワジワと
永遠の世界っぽいもの伏線が出て、その世界観を作り上げたが
今回はそんなものいっさいなく、パッと消えた者が帰ってきたって感じ。
永遠の世界を使う意義がなかなか不明。
ってか、心配するな。
俺も痛い奴、というかその上支離滅裂な文書くようになってきてる
鬱
何だかんだ言っても「他人の土俵」だしねぇ。
それに青山氏って、蒼刻ノ夜想曲でも想い出の彼方でも
ファンタジー的な部分はさらっと流してた感が強い。
書き手が何を重視するか、じゃないかな。
綾芽シナリオではある程度説明あるけど
ONEやってない人は理解しづらいと思う
綾芽の代わり、もしくは一緒に幾美(字あってる?)が
帰ってきたらそれはそれでおもろいかも
菜穂は帰ってきて早々おねだりか
永遠の世界で母親に何を教わってきたんだか(w
967 :
956:02/04/28 07:59 ID:GN+FWzCr
痛さ10倍、電波になって帰ってきました。
まっとうな感想を書くって難しいですねぇ(涙)
こっちでONE2褒めてる人、本家にも投稿してくれないかなぁ……
偶像化されすぎた御神体を求めすぎてる
まさに痛い信者
誉める奴でなく罵倒する奴が信者という構図
OHPって見る気がしないんだよなあ。
>>963 ONEの場合は主人公が消えたくない、この世界にとどまりたい、
と思うのに消えてしまうところがポイントだったと思うのだけれど、
ONE2の場合はヒロインたちがこの世界から本当に消えたくないのか、
よくわからない、というか、その辺が不満だったのだけれど。
いやっほう、電波文最高。
>>969 そうですね、それはある気も。脳内解釈(妄想)で補完してますが。
あと乃逢や遙の時に思ったんだけど、あの程度(程度っつったらキャラに失礼だが)でエイエソ逝きになるなら、
あの世界にはエイエソ候補生がごろごろしているような。
……それを言ったら浩平だってそうか。
あんなもんでしょ。
というか身近に人が死んで絶望したら永遠へでも相当消える気が。
973 :
609:02/04/28 09:17 ID:zMy9spMR
>>963>>971 乃逢に関しては、一度取り戻した自由を再び失うと言うのは
消える理由には十分だと思うけど・・・。
特に「走る」と言う行為を自己の存在の拠り所としていたのだから。
怖いですよ、自分の力で歩けなくなるのは・・・・。
ってこれ電波ですね(笑)。
聞き流してください。
>>973 消える理由はともかく、繋ぎとめられた理由……絆の描写が足りてないと思った。
奈穂のシナリオとか特にもうちっとその辺描けてもよさそうな気がする。
まあライターが違いますからね。
乃逢は王道を突っ走ってますからあの終わり方でもいいんじゃないかと思いますね。
奈穂はあの時点では和宏の思いでは繋ぎ止められないぐらいショックを受けたって事なんでしょう。
何年も繰り返してますからね。
976 :
609:02/04/28 09:47 ID:zMy9spMR
>>974 たしかに、シナリオ終盤は急ぎすぎのきらいがありますね。
飛ばしすぎ。
奈穂シナリオは特に。
けど、雨中の説得シーンに至るまでの過程(特に3人の関係の件)
による信頼の構築、そしてあの時の「約束」は、帰って来るのには
「足りている」と思いますけど。
またまた電波かな(笑)。
977 :
609:02/04/28 09:50 ID:zMy9spMR
>>941 間違った事を教えてしまったみたいです。
すまそ。
電波歓迎
>>976 帰ってくるのには足りてますが、描写が足りてない。これは個人的に思ったことだけど。
なんつーか……もうちっと台詞なり独白なりいれて欲しかった気がするのです。
まあいいんだけど。過去のID見ればわかるとおり、私はマンセー派だし。
あのままでも十分だけど、贅沢言わせてもらえばって感じで。はい。
心音、ほんと良かったなあ。
最後のあのシーンがまた。
これで元の姿のまま記憶も持ってて現れたら萎えだったけど。
なんでシナリオ評価低いのだろ。やはりKanonを連想させたから?
高校生心音は一体何だったの?
幽霊?
そこがよくわからなかった。
>>978 むしろ、普通に帰ってこなかったからじゃないかと(w
俺はあの終わり方でいいと思うが。
あと、心音本人に関する描写が足りていない感じもする。
キャラが発表された当時は特殊な背景設定を持っているのかと
妄想してしまったが、そうではなかったし。
ちなみに心音進めてて連想したのはむしろ澪シナリオなんだが……
世代の違いかな?
やはり私の感性は変なのかと再認識。
>>979&980
そんなものは飾りです。偉い人には略
あまり深く考えたらいけないと思われ。いや、いいけど。
心音はえいえんの世界に逝っていたんだと思っていますが。
高校生心音は主人公に合わせた一種の幻みたいなもんで、
一番最後の心音はえい永遠から帰ってきた心音(だから子供である)と妄想。
こう考えたら自分的に一番スッキリする……というか浪漫があるなとかほざいてみるテスト。
じゃあ最後の心音の母親の存在は、とか、そもそもどうやって主人公の前に現れたとかツッコミは多々あるけど。
そういうの気にする話とも思えないから、と電波撒き散らし。
澪シナリオは途中私も連想しました。
でもやっぱ最後の方になってくると、いつの間にかあゆシナリオの影が……。
ONEやKanonはこの道に入るきっかけになったゲームなので、ああいうシナリオだとどうしても連想してしまいます。
まだ在庫はありそうなのか?
一番安いとこはどこだろう。
中古・ヤフオクはなしで。
空を覆っていた厚い雨雲はいつしか消えていた。
見渡す限りの漆黒の中、まばらな星が弱々しい瞬きを見せる。
日が落ちると、陽光で和らいでいた寒さが勢いを取り戻す。
研ぎ澄まされた冬の空気を呼吸するたび、荒い吐息が白いもやになって霧散した。
いったいどれくらい走っただろうか。
パーティ会場を飛び出して学校までの道のりを行き、そこから学校の敷地の外をぐるり
と回って目的の場所を探し当てた。
「猫の額」という形容そのもののとても狭い場所。公園とはとても呼べない。
綾芽はひとりその場所に立っていた。
息を整えながら幾度となく見回してみたが人の気配は全くない。
ただ、暖かそうな明かりの灯る家並みを遠くに見るだけ。
「寂しい場所」
思わず呟く。とても寂しげな眺めだった。
日が昇っている間でさえ一体どれくらいの人が訪れるのだろうか、そう首を傾げるくら
い周囲から浮いた、場違いな印象があった。
もう一度見回してみるが誰もいない。来る気配すらない。
当たり前かな、と綾芽は内心苦笑した。
誰もが暖かい部屋の中で楽しい時間を過ごしている今この時に、わざわざこんな暗く、
寒く、寂しい場所を訪れることがあるだろうか。
少なくとも今、ここは存在する意味のない場所なのだ。
それはどこか自分自身と重なって見えてきて、綾芽は小さく自嘲した。
改めて周囲をゆっくりと見回してから、古ぼけたベンチへ歩く。
腰かけて顔を上げると、花も葉もない桜が視界に入った。
とても静かだ。
音といえば桜の枝や背の低い植え込みが風に吹かれてざわざわと鳴る程度だ。
それ以外では風そのものの音しか聞こえない。
本当に寂しい風景。
しばらくじっとしていると、知らない間に現実から切り離されているような錯覚を覚え
てきて、綾芽は思わず立ち上がった。
足元の砂利、背後のベンチ、植え込みに桜の木、確かに自分の近くにあるものなのに、
書き割りの風景のように白々しい。
この場所で、いつかの自分と同じようにぽつんと立ち尽くして遠い風景を眺める。
ふと、それは自身の心を投影しているのかもしれない、と気づいた。
だとしたら同じ立場の和弘もまた、この場所から人々の営みを冷たく見つめていたとで
もいうのだろうか?
(そんなこと、あるわけない……)
揺れる心を抑えようとする。それでも、一度湧き上がってきた疑念は胸の中でどんどん
膨らんでいく。考えたくないことを考えてしまう。
もしかしたら、もう和弘はこの世界から――
「嫌ぁっ……!」
怯えた目、身を縮めて小さく悲鳴のような声を吐き出し、綾芽は公園から飛び出した。
一秒でも早く、この場所から逃れるために。
このどす黒い感情を振り払うために。
綾芽は走った。
どのくらいの時間、そしてどれだけの距離を行っただろうか。
最初こそありったけの力を振り絞って走っていたがやがて力尽き、足元だけを見つめて
とぼとぼと歩いていた。嫌な感情を振り払うのが精一杯で、周りは全く見ていなかった。
綾芽はついに立ち止まり、息も絶え絶えにその場にしゃがみこんだ。
今どこにいるかも分からない。方向など考えず、感情に任せてがむしゃらに走った。
そもそも場所なんてどこでもよかった。
頭の中を覆い尽くす心の闇から逃れられるのなら。
その一方で、そんな逃げ場など「この世界」にないと心の中で哀しく笑う自分自身から。
綾芽はいつしかその場所を求めようとしていた。
かつて「あやめ」も求めた場所――永劫に続く世界を。
(皮肉な話ね)
憔悴しきった顔で自嘲しながら顔を上げた途端、
「あっ……」
綾芽は見慣れたその風景に思わず目を丸くして、呆然と視線を泳がせた。
コンクリートとアスファルトの谷間の中、人為的に自然が詰め込まれたいびつな空間。
古ぼけた遊具に囲まれ、繁華街の光を遠くに見る。
綾芽の自宅の近くにある公園だった。
(こんな所まで戻ってくるなんて……)
胸の辺りを締め付ける疲労感を払うように深く呼吸しながら、綾芽は吸い込まれるよう
に公園へと足を踏み入れていた。
夜の公園。かつてはその寂しさの中に身を置いて自分を嘲るための場所でしかなかった。
「私に似つかわしい世界」――自分で言った台詞を思い出して、綾芽は小さく笑った。
でも、今はもう違う。ここにあるのは寂しさや孤独感ではなかった。
ひとつの言葉を思い出す。
『オレも一緒に綾芽の明日を作っていく』
小さな約束。しかしそれは孤独に凍てついた綾芽の心を溶かした。
綾芽の中で比べるものもないくらい大きなものになった。
そしてその言葉をくれた和弘を好きになった。
「あやめ」が好きだった過去の「和弘」ではなく、記憶を失ってこの世界に放り出され
ながらも日常を生きることを諦めなかった、今の和弘を。
そうだ、と綾芽は心を落ち着かせる。
あんなにひたむきに生きる和弘がこの世を儚むことなんてあるはずがない。今日は何か
困ったことができて来られなかっただけに違いない。
奈穂たちが話していた昨日のことだって、そんな気に病むものではないのだろう。
そう自分に言い聞かせながら、綾芽は見慣れた景色を改めて見直した。
すると、少し離れた所に人影。
自然体でその場に立ち、明るい光が漏れる繁華街のほうをじっと見つめていた。
綾芽の視線が釘付けになる。薄闇の中にぼうっと浮かび上がるシルエットは綾芽と同じ
学校の制服。そして薄暗い街頭に照らし出されたその顔……
それは紛れもなく和弘だった。
綾芽の中でキリキリと張り詰められていた緊張がふっと消えていく。
「こんなところにいたんだ」
少し悪戯っぽい口調は心の昂ぶりを表に出さないため。
今すぐにでも駆け寄りたい衝動を抑えて、綾芽はゆっくりと近づきながら言った。
和弘はしばらくの間それに応えようとはせず、ただじっと遠くの光を見ていた。
やがて空の彼方に向けていた顔を下ろして半身だけ綾芽のほうに向ける。
和弘の目が綾芽を映し出した。
(……?)
その表情にかすかな違和感。
綾芽は駆け出そうとしていた勢いを失い、立ち止まる。一歩を踏み出そうと砂利を蹴る
足音だけが虚しく響いた。
「こんばんは」
ゆったりとした口調、どこか醒めた感じで和弘が言う。そこにクラスメイト、ましてや
好きな相手に対する親近感などかけらもなく、ただの見知らぬ他人に話しかけるように
余所余所しかった。
和弘は口の端を吊り上げて微笑みらしき表情を見せたが、明らかに無理をしているそれ
は不自然で、逆にひどく哀しく見えた。
「ここは寂しい場所だな。街の喧騒も届かない。こんな時間には訪れる人もない。まるで
違う世界みたいだよ。君はここに何を求めてきた? 孤独? 虚無? それとも――」
「ねぇ、どうしたの?」
唐突な問いに、綾芽は訝しげな表情で答えた。何を言っているのか分からない。
和弘は溜め息交じりでかぶりを振った。
「どうもしないよ。ただ、『帰ってきた』だけだ」
「『帰ってきた』?」
そうおうむ返しに質問する綾芽にまた寂しく笑いかけ、
「いや、『連れ戻された』というべきかな。意外と短い旅だったよ。もっともこっちでの
時間なんて意味がないな……あの『閉じた世界』には」
意味深に目を伏せて言った。
それを聞いた綾芽はにわかに顔を強張らせ、目を大きく見開いて和弘を凝視した。
「君の考えている通りじゃないかな、望月『綾芽』さん」
「あ」「や」「め」を強調する。その名がもつ2つの意味を完全に理解しているとでも
言いたげに。
「そんな……」
一番考えたくなかったことをあっさりと肯定され、綾芽は呆然となった。
キインと耳鳴りのするような、痛々しい静寂。
2人の間を風がそれを避けるように控えめに通り過ぎていく。
「嘘、そんなの嘘……」
綾芽は今にも崩れ落ちそうになる身体を強く抱きしめ、視線を泳がせながらうわ言の
ように呟いた。何度も、何度も。それはあまりにも切ない光景だ。
和弘はそんな綾芽を見ることなく、ビルの谷間から漏れ出る光を再び見上げて言う。
「じゃあ、オレを古書店街に引っ張っていったこと、覚えてるか?」
「!?」
驚愕で綾芽の顔がひきつる。和弘は遠い目で言葉を継いだ。
「いや、本当はオレが一方的についていったんだよな。何となく興味あって。それで、
行った先で面食らってしばらく待ってたら嬉しそうに本抱えて戻ってきてさ、『和弘さん
も何か探さないんですか』なんて訊いてくるもんだから――」
「やめて……」
胸の中の空気を搾り出すような切なく鋭い呟き。そして、
「もうやめてッ!」
叫ぶ。
「どうして今更戻ってきたのよ。嫌なこと全部彼に押しつけて思い出の中に逃げ込んだ
くせに! それで満足だったんじゃないの、貴方が望んだことだったんじゃないの!?
それを今になって、どうして……」
激情し、大きな身振りで叫ぶたびに涙の粒が飛び散った。
綾芽は涙目になりながらも必死に歯を食いしばって眼前に飄々と立つ男を睨みつけた。
和弘であって、和弘でない「その男」を。
しかし長くは続かない。厳しい表情は悲しみに歪み、目の端から涙が幾筋もこぼれてい
く。感情を抑えることができなかった。
いつしか綾芽は小さな嗚咽を漏らしながら、その場所に力なく座り込んだ。
余所行きのスカートが汚れるのも、その細い脛に砂利が食い込むのもお構いなし。
糸の切れた操り人形のようだった。
そしてまた静けさが戻る。
木々のざわめき、街の雑踏を遠くに、どこか現実感に欠ける静寂。
それを破るように、和弘は晴れ渡る夜空を見上げて言った。
「どうしてなんだろうな。オレだって……」
生気のない声でぽつりぽつりと言いながら錆びついたジャングルジムへと歩く。
金属の四角い枠組みに背中を預けると身を切るような冷たさが制服の上着越しにじわじ
わと伝わってくる。それを甘んじて受けているようだった。
「オレだってこんな所に戻りたくなんかなかった。『あいつ』のいないこんな世界なんて
どうでもよかった。そして――」
深く深く溜め息をついて
「『あいつ』に何もしてやれないオレも、どうなったってよかった」
それっきり、口をつぐんだ。
何十秒、いや何分経っただろうか。綾芽が顔を上げた。
「ねぇ、『あいつ』って誰?」
かすれたような声でぽつりと言うのを聞いて、和弘はしばらく綾芽を見下ろしていたが、
「君は知らないさ。いや、思い出すことはないんだ、二度とな」
「それって!?」
分かるはずないだろう、と冷ややかに笑った。
「自分勝手な奴だよ。何でもかんでも人の逆を行って、考えを曲げようとはしない。単に
スレてるって言やそんだけだけどさ、悪い奴じゃないんだよ。『あいつ』は自分なりに
考えてやってたんだと思う。……でも駄目なんだよ、結局。そんなんじゃ誰にも分かって
もらえないんだ。馬鹿なんだよ、『あいつ』は」
夜空を見上げながら、思い出を噛みしめるように語る。そこにどこか安らいだ表情があ
るのを綾芽は感じ取った。
「意地っ張りで天邪鬼で向こう見ずで――そうだ、先生から逃げるために二階の窓から飛
び降りたりもしたっけ――あれが知り合ったきっかけだったんだよなぁ。
そんな無茶をするくせにどっか寂しがりで、甘えん坊なとこもあって……」
和弘の感情に気づいて、綾芽の目が驚愕で見開かれる。
「なのに、もう……『あいつ』は帰ってこない!」
和弘が吐き捨てるように叫んで拳を背後の遊具に叩きつけると、パイプ同士が鳴る低い
残響が周りの暗闇に染み込んでいく。
「オレは『あいつ』の寂しさに気付いてやれなかった。『あいつ』の孤独を癒してやれな
かった。そんなオレが、『あいつ』を救えなかったオレが……どうしてこんな所に戻って
こなきゃいけないんだよ!?
今オレがここに立ってるのだってオレが望んだことじゃない。オレはただ静かに眠ってい
たかった! 『あいつ』との想い出を抱いていつまでも安らかにいたかった!
なのに――なのに何故オレはここにいるんだよッ!?」
今まで抑えていたもの、抑え込もうとしていた想いが一気に噴き出し、物凄い形相で
絶叫する。大きく肩で息をし、掌の皮が破れんばかりに強く強く拳を握り締めていた。
そして、その激しい感情の嵐が過ぎ去った頃、和弘は背後の遊具にもたれかかって、
やるせなさそうに大きく息を吐いた。
「悪い」
「別に、謝らなくてもいいわ」
力ないその一言に、綾芽は赤の他人に接するような口調で冷たく答える。
その目に感情の輝きはなかった。想いを全て押し殺し、冷徹な仮面を被っていた。
綾芽はゆっくり立ち上がる。一瞬よろけながらも自力で、無感情に両足を地面についた。
「そう……じゃあ、私がこの世界に存在する意味もないのね。彼がいなくなったら、もう
私が私である『証』も消えてしまうんだから」
植え込みの向こうにある道路、そして自分の部屋があるマンションのほうを見上げなが
ら、綾芽は冷笑的に言う。
「彼女……『あやめ』も、こんな想いを抱いていたのね。こんな身を引き裂かれるような
想いで貴方を見ていたのね。改めて分かった。想いが届かない――こんな哀しいことは
ないんだって」
和弘は俯いたまま無言だった。
綾芽は半身だけ振り返って、「貴島和弘君」とフルネームで呼びかける。
見知らぬ相手を確認するように。
「さようなら。もう会うこともないわね」
無感情に別れの言葉を投げかけ、歩き出した。
和弘はしばらくそれを見送っていたが、ふっとを思い出したように、
「そうだ、ひとつ教えられたことがあるよ……もう一人のオレに」
遠ざかっていく綾芽の背中に呼びかける。
しかし綾芽は足を止めることはない。それでも和弘は続ける。
「どんなに辛くても前を見て行け、明日に希望を抱いて行けって。過去に逃げ込まず、
強く在れ、って……それが大事なんだって」
「私には関係ない」
綾芽は何を言われても同じ言葉を返す人形のように、機械的に答えた。
和弘は奥歯を噛みしめるようにその言葉を受け止め、拒絶されていると知っていても
なお呼びかけた。
「オレの言葉なんか聞かなくてもいい。でも、これだけは覚えておいてほしい。
『貴島和弘』って奴がいて、そいつは本当に君が好きなんだって、冷淡で何考えてるか
分からなくて、人付き合いの悪い望月『綾芽』が大好きなんだって。
そしてそいつは君がこの世界に絶望することなんて望んでない。たとえそいつがいなく
なっても君だけはまっすぐ前を見て、明日を作っていってほしいって願ってる。
それだけは、覚えていてほしい」
綾芽が立ち止まる。暗がりの中で分からないが、震えているように見えた。
「もうどうだっていい。放っといて……!」
それでも和弘は必死に訴える。それまでこの世界を疎んじていたのが嘘のように。
「でもそいつと約束したんだろ? 明日が来るのが待ち遠しくなるような、そんな明日を
作るって。それを君は破るのか?」
その言葉に綾芽は歩みを止めた。悲痛そうに肩を震わせながら。
「だって……彼はもういないのよ。私の好きな貴島君はもうどこにもいないの。彼のいな
い世界に未練なんてない。だったら私なんて、消えてしまえばいい!」
「駄目だ!」
和弘は今まで無いくらい強い口調で綾芽の言葉を打ち消し、そしてなだめるように静か
に語りかける。わずかに微笑んでいた。
「だって……君がいなくなったら、そいつが存在した最後の『証』……君の中にある思い出を、
君自身の手で消してしまうことになるんだ。君はそれでいいのか? そいつが最後
に残したものさえなくしてしまって、それでいいのか?」
「――っ!?」
綾芽は冷水を浴びせられたように息を飲んだ。
和弘は少し自嘲気味に笑い、
「自分勝手な言い草なのは分かってる。でも……」
何かを言おうとして、止めた。本当なら自分には何も言う資格はないと理解して。
「悪い、やっぱ忘れてくれ」
努めて明るく言ったが、気まずさの色を隠すことはできなかった。
奇妙な静けさ。
今までの張り詰めた空気はどこかに消え去っていた。
綾芽はゆっくりと振り返り、和弘をまっすぐに見つめる。
「ねぇ」
穏やかな声で小さく問いかける。
「『明日』には、何があるの? 私はそこで何をして過ごしいけばいいの?」
突然の質問に和弘はしばらく考えていたが、やがて頭をポリポリとかきながら気まずそ
うに言う。
「正直言って分かんないけど……でも、それを探しながら生きていくんじゃないかな、人
間なんてさ」
綾芽はそれを聞いて表情を曇らせ、俯き気味にかぶりを振った。
「でも、私1人じゃ何もできない」
「1人じゃないって。クラスのみんなだっている。それに……」
「それに?」
突然言葉を打ち切った和弘を、綾芽は遠巻きから覗き込むように見つめる。
和弘はそれを避けるように視線を逸らし、
「……いや、何でもない」
「気になる」
「何でもないって、ホントに」
「言って」
あくまでも引き下がろうとしない綾芽に、和弘は観念したとばかりに溜め息をついた。
そして綾芽に向き直って、苦笑いを浮かべながら言う。
「……見た目も性格もそっくりな奴がいるからさ、そいつに話してみるのも悪くないん
じゃないか、ってこと。それに、『世間を斜めに見てるようなの』ばっか気にするらしい
んだってさ、オレ」
「もしかしてそれ、私のこと?」
「さぁな。ま、気が向いたらでいいさ」
綾芽は、和弘が気を使っているらしいと分かって苦笑した。
今まで過去に閉じこもっていた人間が他人に「前を向いていけ」と説教している。
それが可笑しく、そしてどこか嬉しかった。
悪戯っぽい微笑みを浮かべて綾芽は言う。
「多分無理ね。だって……貴方の顔を見てると、彼を思い出すから」
「そうだな。実を言えばオレもまだ立ち直れてないんで、厳しいよ」
和弘も苦笑気味に返し、2人は小さく笑い合った。
しばらくの沈黙。
それはなぜかとても穏やかで、2人はしばしその余韻に浸っていた。
やがて和弘が切り出す。
「じゃあ綾――望月さん、『また明日』……あ、2学期終わったんだっけ?」
ばつが悪そうに顔をしかめる和弘に綾芽はくすりと微笑み、
「『また明日』……貴島和弘君」
ゆったりとした動作で背中を向けて公園の出口へ向かって歩き出した。
薄暗い夜道、家路を辿りながら思う。
この広い世界の中で、自分の在るべき意味を求めよう。
しっかりと前を向いて行こう。
きっと答えは見つかる。
そのきっかけになった想いを忘れなければ、きっと。
大切な想い――忘れえぬ約束を、永遠に胸に抱いていよう。
綾芽はそう誓い、晴れ渡る夜空を見上げた。
そこにいるだろう大切な人に、遠く思いを馳せながら。(終)
埋め立て代わりにコソーリ……。
不明な部分を山ほど残しつつ、偽ONE2はこれにて終了です。
感想等書き込んでくださった皆さんありがとうございます。
ハム子ですか……同時進行中の別スレとの兼ね合いもあり正直厳しげかも。
でも、不遇な奴なので正直何とかしてやりたい気もします。
もしやるなら各種設定は本編準拠でしょうね。
徹底的に児玉教諭をおちょくりたいですよ、ええ(w
おお、御苦労様です。
999!
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。