葉鍵板最萌トーナメント!!2回戦 Round77!!
勝負はいつだって、緊張する。どきどきと心臓が早鐘を打って、身体中の血液がぐるぐるまわっているのが分かる。
レースの前はいつもそうだった。
だけど今日は、違う。もっと重くて、もっと負けられない、そんな気持ち。
「郁未さん、がんばってくださいね! もう、徹夜で応援しちゃいますから!」
「ま、やれるだけやんなさいよ? 別に勝っても負けてもどーだっていいけどね」
「わたしは見守ることしかできませんけれど。…あなたに、祝福がありますように」
「妹の顔、立ててやってよね」
声。声。仲間たちの声。由依。晴香。葉子さん。友里さん。
それにせいいっぱいの笑顔で応えながら、わたしは会場への長い道を歩く。
したぼくの一人として<<ちゃんさま>>に一票だぁ!
ふみゅ〜んも当然萌えだがむっきーも萌え
「……郁未。いっしょに、がんばろうね」
にこりと微笑んでくれるお母さんが、とても心強い。
だけど今日はわたしだけで戦う勝負だ。わたしの心をためされる試合だ。
頷いて、勇気づけに唇を噛んで、そして扉に手を開ける。
「わたし、ひとりでもがんばる。強い子になるから」
「……ひとりなんかじゃ、ないのよ」
扉を開ける。わあああああ、という凄まじいまでの歓声。数えきれない人。
いつも見てくれている人。わたしの力になってくれる人。
「………うん、がんばる!」
勇気が出た。心から笑えた。―――ありがとう、お母さん、みんな。
「行ってきます!」
月のもとに生まれし少女、不可視の力は伊達じゃない!
<<天沢郁未>>入場!