葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 Round62!!
「ねぇ…国崎往人ぉ…」
「あぁ?」
往人はめんどうくさそうに生返事を返した。振り返るどころか、ノートのディスプレイから顔を上げさえしない。
「今いいところなんだから、邪魔するなよ。」
膝を抱えて座っていたみちるは、小さく溜息をついて手を膝の間に組み直した。シーソーのように体を揺らす。
「…うーむ、勝負は
>>291でついたな…。それでも手は決して緩めない…」
「やっぱり…あたし…駄目なのかなあ…?」
「駄目だろうな」
「ぎゃふっ!」
バランスを崩してひっくり返るみちる。
「いてててて…な、なんで! なんで駄目なのよぉ!」
なんとか上半身を持ち上げると、立ち上がるのももどかしく、
そのまま往人の方に詰め寄る。
「一言で言うと…慢心だな」
ようやく振り返った往人は、興味なさげに肩を竦めた。
「作品の中でのキャラクターの活躍度。勝負は見えている気がした…。
だが、熱烈なファンなら…あるいは、粋を解する奴なら、こういう時ほど、
燃えるもんじゃないのか? 相手を舐めていた結果がこれというわけだ」
「そっか…そうだよね…」
うつむいて、力無く拳を握るみちる。
「お、おい、ガラにもなく萎れてんじゃないぜ?」
いつになく落ち込んだ様子に、往人も少しうろたえる。
「…決めた」
ぽつりと呟くと、みちるはいきなり往人を押しのけて、
キーボードにその小さな指を走らせた。
しばらく唖然としていた往人は、はっ、と我に返ると、
慌ててみちるを羽交い締めにした。…が遅かった。
「馬鹿野郎! お前、そこまでして…恥ずかしくないのか!?
勝ったって負けたって…お前はお前だろう? それが、みちるじゃないのか!」
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ktail:01/12/10 05:01 ID:2Gm4ltAt
「あたしはあたし…」
呆然としていたみちるは、やがて、ぱっ、と晴れやかな笑顔を浮かべた。
そう、まるでヒマワリが咲いたかのような。
「うん、そうだよね! ま、お礼は言っておいておげるっ。
…もう少しで取り返しのつかないことをしちゃうところだったもんね」
「…もう少しって…もう手遅れじゃないか」
仏頂面で往人が非難すると、ぽっ、と、少女の頬が赤くなった。
もじもじもじ、と下に組んだ手首をくねらせる。
「う…いや…あのう…実は…やけになって…」
「あ?」
ディスプレイを覗き込んだ往人は、一瞬の沈黙後に爆笑し、腹を抱えて床に倒れ込んだ。
「わっははは…お前…本当、馬鹿だよな…ま、プライドだけは認めてやるけど」
笑い続ける往人。屈辱に体を振るわせながら必至で堪えていたみちるは、
遂に堪えきれなくなって、その体を踏みつけた。
「もうっ、いい加減にしてよねっ!」
「わはは…いや、怒るなよ、悪い悪い」
そんな二人を見つめるディスプレイの書き込みの中には、
こんな文字が示されていた。
<<松本>>
(※ケーブルです)