葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 Round62!!

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600名無し忍者
――松本支援枝分れSS 昼休み・松本

 まったりとしたお昼休み。
 いつもの場所――教卓前の岡田の席――に集まっておべんと。
 えへへ、今日はっと、お箸だからご飯だねー。
 岡田はパンかぁ、吉井は……
「ふむ、吉井さんは今日もお手製弁当ですかー」
「よくやるわね、面倒臭くない?」
 楽しい、かぁ。お弁当が作れるって良いよね。わたし、お菓子しか作れないし。
「面倒は、面倒かなぁ。でも自分の好きなもの詰めれるし、結構楽しいかな」
「岡田さんは今日もコンビニパンですかー」
 美味しそうだね、よもぎパン……ちょっとくれないかな。
「うっさいわね、なんか文句あるわけ? そういうアンタはどうなのよ?」
 あう、くれそうに無い。
「松本は……お父さんが作ってくれるんだっけ?」
「そうそう、おとーさんが料理好きなの」
 おとーさんが料理好きっていうか、おかーさんが料理下手過ぎっていうか。
 わたし? わたしはほら、お菓子担当だから〜。
「それじゃあたしと変わらないっての。まぁ、良いわ。あたし何か飲み物買って
くるけど?」
「わたしお茶〜」
「松本はいつもので良いんでしょ? 吉井に訊いてるのよ」
 ひ、酷い。わたしがいつもパシらせてるみたいじゃない〜。
「私は良いよ」
「じゃ、ちょっと行ってくる」
 いつも通り、岡田はジュースを買いにいくのでした、まる。
601名無し忍者:01/12/10 01:45 ID:G9MnISCO
 おとーさん。『板わさ』はあんまりお弁当に合わないと思うの、わたし。
 わさび嫌いじゃないけど、あう、鼻に来たっ、くー。お茶、お茶を……お茶は宅配
待ちですよ、奥さーん。しからばご飯をー。
 ご飯を口に放りこんで、ふと見上げると吉井と目が合った。
「ふま……なーに?」
「なんでもない、良く噛んで食べて」
 良く噛んでって、子供みたいに言わないでよ、もぅ。
 次はつくねにしよっかな、つくねー、つくねー……居酒屋みたいな取り合わせだね、
おとーさん。ん、美味し♪
「吉井さ〜」
「ん、なに? ちょっとお弁当つけないの。子供じゃないんだから」
「あれ? ホントだ。あはは」
 あはは、失敗失敗。どっちかって言うと、吉井がおかーさんみたいなんだと思うけ
ど、わたしが子供っぽいわけじゃないと主張したいよ。ひろうずおいしー。
「で、なに?」
 うあっと、忘れてた。
「吉井さ〜、良いお嫁さんになれるよ」
「ありがと。でもカニコロッケはあげないからね」
「ケチ」
 二個あるんだから一個くれてもいいじゃなーい。カニコロッケ、カニコロッケ。
 わたしがすいっと伸ばしたお箸を吉井が剣劇よろしく払う。
 むー、今日の主力はカニコロッケですかー。
「ちぇー、じゃあ。これと交換。ん、美味しい」
 しょうがないから、卵焼きと板わさをトレードした。おー、さりげない隠し味に醤
油を使っていますねー、興味深い。
「あっ、もぅ、しょうがないなぁ」
 しょうがないなぁと板わさを口に運ぶ吉井……わくわく。
 えへへ、つーんてしてるよ、つーん。
602名無し忍者:01/12/10 01:46 ID:G9MnISCO
 ふま、吉井の卵焼き美味しいなぁ。
「ふーむ、この美味しさが彼に届くのは何時頃になりそうですか〜?」
 なーんて言ってみたり〜。
「な、なに言ってるの! そんなの、別に……」
 うわうわうわうわ、ちょっとちょっと、そんなに可愛い反応しちゃいますか。
 きゃー、耳まで真っ赤にしちゃって、まさに恋する乙女ってヤツですかー。
 良いね、良いね、そういうの良いね〜。
 でもまぁ……
 実際のところ厳しいよね、良い出会い、きっかけじゃ無かったし。
 彼が絡んで来なかったら、吉井も本気になっちゃうことなんて無かったのだろうし。
 本当に好きなんだね、彼のコト。
 なんとかならないかな……
「きっかけなんて自分で作るものだよ。命短し恋せよ乙女ってね〜」
 きっかけは自分で作るもの。自分の恋だもの、自分で始めなくちゃ、動かなくちゃい
けないよ。
 けどね。
 ちょっと背中を押してあげるくらいなら、してあげても良いんじゃないかな。 
603名無し忍者:01/12/10 01:46 ID:G9MnISCO

「解ってるんだけどね、なかなか」
「なかなか、なんの話? ほら、ウーロン」
 絶妙のタイミングで岡田が帰って来た。
 あはは、そういう顔をしちゃうと、岡田は食い付いてきちゃうよ〜。
「吉井ちゃんの儚く辛い恋のおはなし〜」
「ちょっと、松本っ!!」
「へぇ、それは聞き捨てならないわね。詳しく聞かせてもらおうじゃない」
 良い顔です、岡田女史。
 並み居る男子を背を見せて逃げますよ〜、その笑顔。
「ここじゃなんですから〜」
 がっくり観念モードの吉井を引きずって、わたし達は教室を後にした。

 あ、おべんと出しっぱなし……

 <終>