葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 Round61!!

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666名無しさんだよもん
>>664
心は痛みと苦しみで張り裂けそうになり、目は涙で霞んで周りの景色を認識しない。
ただ愛した人だけを網膜に焼き付けるようとするかのように鮮明に映していた。
水門の前まで来ると、耕一は僅かに千鶴の方を振り返る。
耕一の中にあるのは千鶴に対する想いのみだった。ここで倒れてしまえば楽になれる。
普段ならば何でもないような距離を歩いているが、今は無限にも感じていた。
ここで倒れたら…千鶴さんは自分が殺したと思ってしまう。
涙を流した彼女を見て思った、彼女は強くなんかない、強いふりをしているだけなんだ!
だから俺は、俺自身で命を絶つ。
そうすれば、千鶴さんの苦しみを少しでも減らせるかもしれない。
耕一は振り返った。
今までの沢山の出来事が耕一の前を通り過ぎていく。
耕一はそのまま目を閉じる、良かった……最後の瞬間に見れた人が千鶴さんで……。
力は残っていなかった、体は崩れ落ち水面へと吸い込まれていく。
バシャーン!
鈍い水音が静寂の中に響き渡る、
千鶴「耕一さん!」
ようやく千鶴の体はその機能を取り戻した。
鬼の力ではなく、柏木千鶴という一人の女性が駆け寄っていく。
千鶴「……こういち…さん」
水面を見つめ、地べたへと膝をついた。
千鶴「どうして、どうして大切な人は、みんな私を置いて逝くんですか…」
問い掛けるようなその言葉に返ってくる声はなかった。

長くてスマソ
本当はもっと長かったんだけどね(汗
読んでくださった方、ありがとう。