奇跡はきっと起こるよっ!月宮あゆスレッドパートV

このエントリーをはてなブックマークに追加
66ヘタレ字書きF
「おいおい。アイツ、右手と右足が一緒に出てるぞ・・・」

トーナメント会場に入るあゆの姿は、とても奇跡を起こした少女には
見えなかった。

「緊張してるあゆちゃんも可愛いねー」

単純に名雪は面白がっている。

「そうか?見てるこっちが恥ずかしいぞ。
 ・・・っと、忘れないうちに行ってくるか」

「席を外すんですか?もうすぐ佳境ですよ?」

秋子さんが不思議そうに尋ねる。

「いえ、アイツ、きっと『うぐぅ。負けちゃったよ〜』とか言って
 ピーピー泣きながら帰ってくるでしょうから、残念賞代わりに
 たい焼きでも買ってこようと思って。
 泣いた子供をあやすには、食い物が一番ですから」

なら私が・・・、と財布を取り出そうとする秋子さんを俺は慌てて止める。

「いいんですよ。私もあゆちゃんにはお世話になってますし」

「でも、あの時はアイツ看病中に寝ちゃったし・・・」

笑いながら答える俺の言葉を遮って、秋子さんは続ける。
67ヘタレ字書きF:01/11/30 15:38 ID:gsn5xg5k
「いいえ。もう一つの方です。
 私がいまここに居られるのは、あゆちゃんのお蔭ですから」

「え・・・」

何のことです?と続けようとして、俺の記憶に触れるものがあった。
『あの状態から回復するなんて。本当に奇跡ですよ』
医者はそう言った。
そう。『奇跡』と。

(この人も気付いてるんだ)
観念してお札を受け取る俺に、また秋子さんは続ける。

「勝ったときのお祝いは多いほうがいいですよね」

ぐはッ。バレてる。
俺だって、あゆが負けるだなんて思っちゃいない。
秋子さんには、俺の照れ隠しなんぞは通用していなかった。
(この人は、何でもお見通しなんだな)
頭を掻きながら観客席をあとにする俺を見送る秋子さんの笑顔が
容易に想像できた。

会場の外にはかなりの屋台が出ていた。
こんなお祭り騒ぎなんて滅多にないだろうし、たしかに稼ぎ時かもしれない。
袋いっぱいのたい焼きを抱えて戻る俺に、文字通り会場を揺らすような
歓声が聞こえた。
68ヘタレ字書きF:01/11/30 15:40 ID:gsn5xg5k
(何だ?また萌え画像という名のバンカー・バスターでも投下されたか?
 意外に健闘するじゃないか)

自分の頬が緩むのがわかる。

(けどな・・・)

片手でポケットからザ○ルスを取り出して電源を入れる。
(応援してくれてるみんなには悪いけど、最高の萌え画像はここにあるんだ)

写し出されたのは、初めて袖を通す制服に戸惑いながらも
満面の笑みを浮かべている少女。
7年間の空白を、やっと笑顔で埋めた女の子。
最高のJPEG画像。

「そうだ。飲み物もいるか」

ザ○ルスを仕舞い、コインを自販機に入れようとする俺の手に一片の雪。

振り始めるにはまだ早い。
けれど、空もあゆを応援してくれてるのだろうと、俺は勝手に解釈して
来た道を戻る。

会場が、また歓声に揺れた。


スレ汚し、スマソ。