葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round48!!

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159ファーレンハイト
白い教室。
何もかも白い、ひどく平坦な教室。
手を伸ばせば届きそうな場所から、それでいて遙か遠くの「何処か」から
虚ろ気な言葉を垂れ流し続けている先生の声は僕に届かない。

何処かに居るはずの僕の同級生達。何というほどのこともないことを喋り続け、
互いに繋がっているかのように喋り続けている。お互いの心の欠片さえも知ることはないのに。
その輻輳は驚くほどに膨張し、拡大しつづけている。
僕の目の前でふくらませた風船のように大きく、
大きくふくれあがってゆくそれはいつのまにか途方もないものにかわり---
途切れた。

凍った静寂だけが僕を包み込む。
何も届かない。何も聞こえない。ただ、闇だけが広がってゆく教室、闇はどこまでも白く。
僕の指先から零れだしてゆく白。闇を染めて、時間の中へ溶けだしてゆく白が僕の指先から零れだしてゆく。
止めどなく流れ出し、僕はその流出を抑えることなどで気はしない。
僕以外は誰も居るはずのない白い教室で。