男男 葉鍵板最燃男トーナメント!! round2!! 男男

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730久瀬ばなし
「佐祐理を悲しませたら…許さないから!!」
目の下から血を流しながら、川澄舞が叫んだ。
壇上の男、久瀬を刺すように睨みつける。
…が、やがてきっぱりと背を向けると、その場を早足で去っていった。
周りの生徒は完全にその気迫に呑まれ、しばらく声を上げることすらなかった。

「…ふうっ」
舞の姿が視界から消え、ようやく身体の緊張が解ける。
(生きた心地がしなかったよ…)
あやうい程に真っ直ぐだな――と、久瀬は思った。
彼女のひたむきさで敵視されては、さすがの久瀬も気後れせざるを得ない。
(…まあ、これで道化の仕事も終わりさ)
全校生徒の前で佐祐理の生徒会入りを嫌味な程にアピールしておいた。
これで少しは取り引きの不自然さをなくすことができるだろう。
情に流されて川澄舞を復学させた、などと知られる訳にはいかないのだ。

「…あ、倉田さん」
久瀬は舞の元に向かおうとする佐祐理を呼び止めた。
「これ」
そう言って久瀬が佐祐理に手渡したのは、絆創膏。
ほけっと彼を見返す佐祐理に一言。
「…川澄さんに」
「…あっ」
佐祐理はその小さな箱を受け取ると、にっこりと笑い、一礼する。
そして、今度こそ親友の元へ駆けていった。



…なんで絆創膏なんか持ってたかって?
…川澄さんに二、三発殴られるのを覚悟してたからさ。