男男 葉鍵板最燃男トーナメント!! round2!! 男男

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675久瀬、入場ッッ!!
「…これは、意外な来客もあったものだね」
久瀬は目の前の少女、倉田佐祐理を見て呟いた。
「あははーっ、こんばんは、久瀬さん」
「何の用件だい? まさか、僕の応援に来たなんて言わないだろうね」
「はえ、どうして解ったんですかーっ?」
久瀬はうんざりしたように首を振る。
「倉田さん。僕は君の親友、川澄舞を退学に追い込んだ男だよ?
 憎まれこそすれ、応援される理由なんかない筈だ」
「でも、舞を復学させてくれたのも久瀬さんですよ」
「あれは――ただの取り引きだ。彼女の退学を取り消すかわり、君を生徒会に迎え、より権勢を…」
「卒業間近の佐祐理を引き入れても、生徒会にそれほどのメリットがあったとは思えません。
 久瀬さんが舞のためにした苦労とは、どうしても釣り合わないんです」
いつになく真剣な佐祐理の視線に、久瀬は押し黙る。
…知っていたのか。

舞踏会の夜、久瀬は怒りに任せて舞を糾弾した。
しかし冷静になってみると、あの事件は本当に彼女だけの仕業だったのか、という疑念が湧いた。
久瀬自身、誰も手を触れないのに砕けるテーブルを目撃していた。
だが、そんな不確かな証言で退学処分を取り消すことはできない。
だから久瀬は、渋る他の役員や教師を説得し、佐祐理の生徒会入りと引き替えに舞を復学させた。
生徒会における彼自身の立場を危うくしてでも、守るべき信念があったから。

「久瀬さんは、舞のことを許してくれました。舞のために頑張ってくれました。
 …だから、久瀬さんは、佐祐理の大事なお友達です」
「…買い被りすぎだよ、倉田さん。ただ…」

「…生徒会は、真面目な生徒の味方だからね」
佐祐理が、にっこりと笑った。

――久瀬、入場。