葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 Round47!!
「……芳しくないわね」
私はそう言って浩平に向き直る。
「まあ、やっぱり絵がないのは致命傷だと思うが」
「浩平、相変わらず口が悪いわね」
「……だって、仕方ないだろ。事実なんだし」
「分かってるわ。で、どうしたら効率よく票を集められると思う?」
「えーと、とりあえず『葉鍵板100人に訊きました』による萌え調査によると」
某魔物ハンター
「うさみみ……祐一が可愛いって言ってくれた」
某生霊うぐぅ
「そうだね、やっぱり口癖がないとね。あと、食い逃げするとかどうかな?」
某大食い選手
「えーと、カツカレー十人前。きつねうどん二十杯はかるいよ」
某営業スマイルお嬢様
「あははーっ、ですよ。いいですか、コレで10票はかたいです」
某がおがお翼人
「うーんとね、観鈴ちんはすぐに泣いちゃうから、よくわかんない」
(……あちゃ。なんだこれ?)
続きのテープを見る間でもなく浩平は頭を抱えてしまった。
「はは、由紀子さん、参考にならないですね、これじゃあ」
「…………」
由紀子さんは無言で立ち上がると、どこかに出かけていった。
「怒ったのかな……やっぱり」
某だよもん星人
「あの、浩平……さっき商店街でちょっとヘンなもの見たんだけど」
「何をだ?」
「えーと、言いにくいんだけど、気のせいかも知れないけど、
レストランにうさ耳をつけた、うぐぅとかしか喋らない女性が、カツカレー十人前頼んで、
さらにきつねうどんも頼んでて、そしたら食べ過ぎたせいか……救急車を呼ばれて」
「…………」
「口から泡を吹きながらそれでも、あははーっ、って笑ってるの。不気味?
ううん、何て言うのかな? 哀れだったよ。そしたら急に泣き出して、大騒ぎだった。
警察も来てたみたいだよ。そしたら、由起子ちんぴんち。とか言ったんだけど」
「……で、そこまで聞いて、お前は何をしに来たんだ?」
「……なんとなく、叔母さんいるかなと思って……」
「長森、忘れてくれ……」
「……うん、分かったよ」
「……そっか。由紀子さん、結構、切羽詰ったたんだ」
冬に木枯らし。由紀子の長い冬は終わらない。