葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 Round47!!

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104想像して下さい
「せっぽう」等という代物のせいで折原家に財産が無いであろうことを。
いや、財産どころか多額な借金が出来てしまっているであろうことを。
その名義が姉だけでなく息子である浩平のものもあるであろうことを。
浩平を引き取るということは、その借金をも受け入れねばならないであろうことを。
元を正せば娘であるみさおが入院してしまったこと。
娘が訳のわからない病気になってしまったこと。
その対処方法が分からないが為に神頼みに走るしかなかったこと。
いやいや、それを言うならそんな時に助けてくれる筈の夫がいないこと。
夫が他界してしまった後も、追い討ちをかけるように実の娘が奪われていく。
何かが壊れてしまったのだろう。何かが狂ってしまったのだろう。
そんな姉をとめることが出来なかった。助けてあげることが出来なかった。
そんなところに負い目を感じているのかもしれない。
残された浩平を引き取るには、

「放って置けなかった」

その程度の決意や覚悟では済ませられない程責任がかせられる。
なんの見返りもなしに。
自分の血を分け与えた子供でもないのに。
亡き義兄に想いを寄せていたのかも知れない。その忘れ形見だから浩平引き取った、
そんな下種な考え方もあろう。
本当に幸せそうだった姉夫婦を見ていただけに、これ以上不幸にならないよう浩平
を引き取ったのかもしれない。
なんにせよ自分の幸せに対しては大きくマイナスだ。
自分が結婚しようとした際にはデメリットにしかならないであろう。
それよりも「母」になったことの無い自分に、浩平の母親代わりになれるのであろうか。
前途は多難である。
が、これ以上不幸にさせてはならない。このままではあまりにこの子が不幸すぎる。
105名無しさんだよもん:01/11/25 02:27 ID:TBDWNLtN
>>80-82>>87-89
のSS良かった!!
<<由起子>>さんに1票!!
106想像して下さい:01/11/25 02:27 ID:NO/H8UTu
結局のところ、浩平に対して良き母親にはなれなかったらしい。
近所の瑞佳ちゃんが相手をしてくれることで泣き止むようになったらしい。
それも人づてに聞いた話で、浩平から直接話を聞いたわけではない。
いや、それをいうなら、会話自体ほとんど行われていない。
夕食とて用意できない有様だ。
すべて仕事に忙殺されてしまう。

「仕事が好きだから」

そんなのは言い訳だ。自分にそう言い聞かせているだけだ。
女手ひとつで借金を返しながら子供を育てるのはどこかに無理が生じる。
会話は無い。親子としての接点も無い。ただ家には寝に帰っているだけ。
そうしないと現実世界で生活は出来ない。愚痴がこぼれそうになる。
でもそれだけはしてはいけない。自分が望んで浩平を引き取ったのだから。
107名無しさん@乙女希望:01/11/25 02:27 ID:+CTFGCK7
21位 ジョージ宮内 3票
22位 激甘練乳 2わっふる
23位 冬みかん 1票
24位 宮内あやめ 1票
25位 二階堂紅丸 1票
26位 由紀子さんが茜を剥くGCもしくはSSを書いてくれる人 1茜の下着 世界最強の期待票
27位 夕叢霧香 1よいしょ
下1位 ひかる −3581ギガんと
超先生と対戦権 国崎 最高 葉鍵版最萌トーナメントの優勝者と戦える権利
指チュパ 翡翠 ( ・д・)つ オヘヤヲ オツレシマス
万歳 1000いったら板を転々とするスレmac板 マンセー
シャワーシーン 最萌トーナメント ヒッチコックの視覚的恐怖

>>102
凸は凸で結構盛りあがりそうな気がするがw
108想像して下さい:01/11/25 02:27 ID:NO/H8UTu
家庭環境の割には、浩平は素直に育ってくれたと思う。
多少の問題は聞こえてくる。それでも父は死別。母は行方不明。引き取った叔母は
母親失格。
そんな環境ならもっと世界を敵と見て暴力衝動にかられないか? 世界と距離をお
こうと殻に引き篭もったりしないか?
すべては近所の瑞佳ちゃんのおかげなのだろう。時折この小さな少女に母性をみて
しまう時がある。
こんなところでも自分に大きく欠けたモノがあると痛感させられる。だけどどうし
たらいいのか、それが分からない。
結局は養育費を稼ぐ。それしか自分には出来ないのだろうか。
浩平を助けたい。それだけはいつでも考えている。でもそのやり方が分からない。
声をかけることすらしていなかったのだから。

「それに私は怖い」

浩平は姉の息子なのである。私の子供ではない。
いつしか私の元を離れていく。愛情は注いだ分だけ返ってくる事を望んでしまう。
私が年老いたときに浩平は私の面倒を見てくれるのだろうか。
いや、それは期待できない。私は浩平の母親ではない。肉親ではない。所詮家族で
はないのだ。

浩平とは距離をおこう。今までそうして生活してきた。これからも出来るであろう。
私の心に占める比率が大きくならないうちに。
109想像して下さい:01/11/25 02:28 ID:NO/H8UTu
浩平が社会人になった。途中高校で一年留年したけどそれ以上の問題は起きなかった。
もっともその一年間の浩平のことは、私の記憶に無いのだけど。
でもそれは些細なことだ。
ようやく肩の荷が下りる。
実質的に親として何かをしてあげることは出来なかったけど。
これで私は開放される。いままで何のために生きてきたのだろう。そしてこれから何
のために生きていくのだろう。
浩平には素敵な彼女がいる。結婚も間近だろう。きっと幸せな家庭を築いてくれる。
自分が人より悲しみが多かったから。
伴侶となる人に悲しい思いをさせたくないから。
生まれてくるであろう子供に自分と同じ悲しみをさせないために。
きっとこれが最後の仕事。
結局姉さんは今でも見つからず私が代理人となる。だけどこれでお終い。
これで浩平の「保護者」役から開放されて私はひとりの小坂由起子に戻る。
浩平の結婚式で、形だけ参加してそれで終わり。
浩平と暮らしたあの家も要らなくなるかな。ローンも減らすこと出来るかな。

「かあさん、今までありがとう」

今なんて言ったの。

「以前から言おうと思っていたんだよ、かあさん」
「これからもよろしくお願いします、御義母さん」

私は今、みっともないくらい涙を流しているだろう。
浩平の顔なんてゆがんで見えやしない。
今、初めて、浩平の母親になれた、浩平に母親として認めてもらえた。
そんな気がした。