葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 Round43!!

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230エコーズにて
 かたん
 智子が椅子から立ち上がる。
「お疲れさん、あんたの勝ちや」
「ありがとう」
 勝者と敗者の間に、余計な言葉は必要ない。
「ええ試合やった……な」
「そうね」
 簡潔な理奈の返事に、智子は思わず苦笑した。
「無理すんなや、顔に書いてあるで。まだまだだって」
「……」
「うちとしては十分納得行く戦いやった。けど、あんたの目指す場所は
まだ先にある。あんたを追ってくる奴の為にも、こんな場所で留まって
られない……そうやろ?」
「……」
「うちとあんたの差は、多分そこにあったんやな」
 壁にかけてあったオーバーコートを取る智子。
「お別れや、緒方さん。今日は楽しかった。あ、そうそう。仮にもうちを
負かしたんやさかいな、目指す境地に辿り着かんとコケたらしばくで」
「……大きなお世話」
 テーブルに腰を落ち着けたまま、理奈はそんな智子を見送る。
「あたしは天才と呼ばれた女よ。あなたに心配されるまでも無いわ」
「ん」
 ぶっきらぼうな理奈の返事に、智子は満足げな笑みを浮かべた。
「んじゃ。おごってもろうてごっそさん」
 からからん
 智子の姿が扉の外に消え、店内には理奈とマスターだけが残された。