葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round42!!

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816理奈投票済み
理奈応援SS。長いので3発に分けて。
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「ただいまー」
理奈がバイトから戻ってきた。
俺は玄関まで出迎えに行く。
とはいっても1Kの狭いアパートなので、転がってでもいける距離なのだが。
「あー、もう、ほんとイヤになっちゃう」
おかえり、と声を掛ける間もなく、理奈が不機嫌そうな声を上げる。
俺はそんな理奈に笑いながら問う。
「どうしたんだよ?」
上着のコートを脱ぎ、クローゼットにしまいながら理奈がムスッとしたように
口を開いた。
「貸し出しの業務、やってたのよ」
ふむ。ちなみにいうと、理奈のバイト先はCDやビデオのレンタルショップだ。
「うん、それで?」
俺が続きを促すと、理奈はため息をつきながら言葉を続けた。
「そうしたらね、お客さんが私のCDを手に持ってたの。あ、まずいな・・・
って思ったら、CDのジャケットに写った私と、カウンターに立ってる私を
見比べて、『あっ』って大きな声を出したのよ。ま、しょうがないけど」
「うーん・・・。もう引退して1年も経つのになぁ・・・」
そう。理奈があの虚構で塗り固められた世界から引退してから1年が経っていた。
引退宣言した日から数ヶ月はワイドショーや週刊誌などで取りざたされる事も
多かったが、日に日に人々の記憶からは理奈の歌声やその姿は薄れていった、と
思っていたのだが・・・。