葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round42!!
休憩をもらってスタジオから出ると、廊下に由綺が待っていた。
由綺「あ、お疲れさま。理奈ちゃん」
理奈「あら由綺、どうしたの? 仕事じゃなかった?」
由綺「弥生さんに無理いって時間合わせてもらっちゃった」
自分だって今まで仕事だったはずなのに、
由綺は私をベンチに座らせて自動販売機に行ってしまった。
あの娘はこんなときばっかり強引で。だから…本当に良い娘だ。
そうして、湯気の立つ紙コップを両手に持って戻ってくる。
由綺「理奈ちゃんはクリーム多めで、私は砂糖多めにしたんだけど」
理奈「あ、気を利かせてくれたんだ。ありがとう」
由綺「どっちだか…わかんなくなっちゃった」
理奈「ひとくち飲んで比べてみればいいじゃない?」
由綺「え、でも…」
理奈「こらこら、なに赤くなってるの」
コーヒーが冷めるより短い時間だけど、癒されるには充分な時間がある。
理奈「由綺、私やるわよ。最後まで、めいっぱい」
由綺「うん、応援してるよ」
理奈「キスマーク付きのコーヒーまで差し入れしてもらっちゃったしね」
由綺「やだ、理奈ちゃん…」
理奈「また照れるんだから…」
可愛い。ときどき妬ましくなるくらい。でも、そこはツッコむところよ…。
この空気に少しだけ未練を残して、ベンチから立ち上がる。
勝てるかどうかなんて分からない。でも、みっともない真似はできない。
力を抜いて勝負するなんて器用なことはできないから。
だから、最後まで全力。