葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round42!!
斜に構えて見せていても、かあっと、血が昇っていくのが分かった。
『理奈は本当に昂ぶると、耳たぶまで真っ赤になるから分かりやすい』
なんて、前に兄さんが言ってたっけ。
理奈「ん…っ」
照れ屋な彼をせっつくように、鼻にかけた声で、催促する。
体を預けるなんて性に合わないし、寄り掛かるつもりもない。
敏感なくちびる同士が、触れ合う程度のキスでいい。
私が必要としているのは、ただ当たり前に存在する温度。
ずっと欲しかったのは、こんな、平穏な温もり──
理奈「あむ…っ!」
──なのに、これってどういうことだろう。
理奈「ひょ、ひょふやふん?」
看護婦「ほらほら、噛まないの。検温の時間ですよ」
私の口には、体温計。彼ったら看護婦さんに場所を譲って、肩なんか竦めて。
看護婦「少し熱、あるみたいね」
は、はうっ…恥ずかしい。これって、ものすごく恥ずかしすぎる現場を
押さえられた気がする。
理奈「〜〜っ!!」
頭までシーツをかぶり、柄にも無く涙目で拗ねる私があんまり可笑しかったのか、
冬弥君はお腹を抱えて笑い転げている。
──ああ、それだけで。
あなたの、その笑顔だけで。私は、もっと、頑張れる。