葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round42!!
理奈「雪……じゃない、か」
一面に敷き詰められた白。…何処かの病室だろうか。
目を開けて、最初にいてほしい人の姿がそこにいたので、不謹慎にも
笑みがこぼれてしまう。いつからだろう、こんなにも素直に笑えるようになったのは。
撮影や挨拶回りで見せるのとは違う、安堵からこぼれる微笑。
冬弥「極度の過労と神経症、おまけにステージから落ちて捻挫──やっぱ今回の
カムバック、考え直さないか?風当たりも、並大抵のものじゃ無いだろうし…」
(…最近じゃ、事務所にまで嫌がらせの手紙とか来るし?)
理奈「ま、そうされても当然よね。味方なんて、もうどこにもいないから。
緒方理奈という名前を求める人が何人いても、その誰もが本当に見たいのは、
私の── 一度は業界に背を向けた私の、無様に失墜する姿に決まっているもの」
わざと意地悪な言い方をすると、彼の表情は悲しげな色に曇った。
優しい彼にそんな顔をさせてしまう事が、今の私には堪らなく苦しかった。