葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round42!!
http://sakura2.room.ne.jp/~boogie/cgi-bin/img-box/img20011119062519.gif 仕事を終えて、自販機コーナーに向かう。ちょっと一休みしたら帰ろう…。
するとそこに、コーヒーの紙コップを手にした理奈ちゃんがいた。
理奈「あらっ」
理奈「冬弥君、今日もここでお仕事していたのね。全然気づかなかったわ」
冬弥「うん。今日はほとんど機材室とスタジオを往復してたから…」
理奈「ふふふっ。お疲れ様。相変わらず真面目なのね、冬弥君って」
そしてポケットからコインを取り出し自販機に投入する。
理奈「冬弥君、ホットコーヒーでいい?」
えっ、俺に?
理奈「お砂糖とミルクは?」
冬弥「あっ、いいよそんな。俺になんて」
俺は慌てて手を振る。
理奈「へええ? ノアール…ブラックで飲むんだ。ふふん、かっこいい」
冬弥「いや、そういう意味じゃなくて…」
砂糖とミルクを遠慮するってんじゃなくて…。
だけど理奈ちゃんは既に自販機のボタンを押してしまっていた。
コトン…。
紙コップの落ちる音がして、それからコーヒーの甘い香りが漂ってくる。
冬弥「ありがとう。俺なんかにこんな。でも、いいの? こんなことしちゃっても?」
理奈「ふふふっ。いいから。私からのご褒美と思っておとなしく受け取りなさい」
ふざけて言ってるんだろうけど、なんて似合う台詞なんだろう。
ふと、彼女は腕時計をちらっと見て、
理奈「ちょっとだけ、お話ししてもいい?」
冬弥「あ、うん」
彼女の方が忙しい体のはずなのに。
理奈「よかった。座って」
促されて俺は彼女と長椅子に腰を掛ける。
冬弥「今日はお仕事の方、もういいの?」
俺はなんとなく気遣わしげに尋ねる。
理奈「ええ、今日はもうお終い。あとはお家に帰るだけよ」
冬弥「ご苦労様だね。毎日こんな調子で大変じゃない?」
理奈「あら、心配してくれるの? それとも社交辞令?」
からかうように彼女は俺の顔を覗き込む。
冬弥「いや、そういうんじゃなくて…ただ、ほんとに…」
俺はどう続ければいいのか判らず、困って笑う。
そんな俺を、彼女は軽く笑いながらじっと見つめてたけど、不意に目を逸らして、
理奈「優しいのね…」
そう呟いた。
理奈「…由綺が選んだのもなんとなく判るわね」
ほとんど聞き取れない小さな呟きだった。俺はどういう反応を取ればいいのか判らないまま、彼女の目線の先の、ありもしない何かを探して視線を泳がせた。
と、不意に彼女の目線が再び俺に向く。
理奈「それとも、誰にでもこんな風に優しいの?」
意地悪そうな口調に反して、俺を見つめる彼女の顔は、とてもとても優しかった。
冬弥「優しい?」
理奈「そう…」
その時、彼女の腕時計のアラームが生真面目で融通のきかなそうな電子音を響かせた。
理奈「…もう行かないと。ごめんなさい、引き留めちゃって。本当のこと言うと、いろいろ聞いてもらいたい話とかあったの…。ごめんなさい、また今度でいいわ」
理奈「今度はこんなのじゃなくて、もっとちゃんとしたレストランでね。美味しくないもの、こんなコーヒー」
笑って、理奈ちゃんは、空の紙コップを軽く、だけど完全に握り潰した。
なんとなく、迫力があった。
本編転載ね。で、もう一丁喫茶店でのCGも。
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