葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round41!!
でも、私は一人だった。
誰もが私の演じる「緒方理奈」を賞賛してくれた。
みんながトップアイドルの私に一目置いてくれている。それは決して悪い
気のするものじゃない…。私もそうあろうと頑張ってきたのだから。
でも、それだけ。私はどうあっても「緒方理奈」以外の何者でもなかった。
だから、私も「緒方理奈」を演じ続けるしかなかった。
だって、それが私の選んだ道なのだから…。
そう、由綺がいたわ。先輩風を吹かせて色々言ったけど、あの娘は初めて
私が同じ立場で話すことができた、たった一人の娘。ドジだけど、熱心で、
面白くて…。彼女とは何でも話すことができた…。
ああ、そうか、だから兄さんも由綺に色々と話かけたんだ。
バカね、私。本当にバカみたい。それに…、冬弥君まで…。
ううん、そんなことない。
彼とのことは、そんなことじゃない。
だって、冬弥君は、私を初めて一人の人間として見てくれた人だから。
アイドルじゃなくて、一人の女として、初めて私を見てくれた人だから。