葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round41!!

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164名無しさんだよもん

 冬の陽射しは夏なんか嘘だったみたいに弱々しくて、儚くて、
 すぐにつめたい風に吹き消されそうなくらいに、静かだ。
 ――――だけども、いつだって、太陽はそこにある。

「……えらく寒いなぁ」
「……ん、さむいねえ」
「……アレだな、地球温暖化ってのは政府の陰謀だな」
「……たくらまないもん、そんなこと。誰も得しないよ」
「……たくらむんだよ。大人は怖いんだぞ。分かってないなお前は」
「……わかんなくていいよ。それより今は、浩平が寒いことの方が大事」
「……そか。じゃあ、いつもみたいに、アレ、頼む」
「……ん。したげるよ、いくらでも」
『はーっ』
「……もっかい」
『はーっっ』
「……ごめん、もっと」
『はーっっっ』
「……あー、やっぱしあったまるなあ、お前のコレは」
「……あはは。すぐ冷たくなっちゃうから、わたしも大変かな」
「……手袋、してるのになあ」
「……だってぼろぼろだもん、それ。浩平、物を大事にしすぎだよ」
「……瑞佳がつくってくれたんだから、大切に使うに決まってるだろ」
「……ありがと。50年も、とっててくれるなんて……思わなかったよ」
「……当たり前だろ。だってオレは、瑞佳が世界でいちばん可愛いと思ってんだから」
「……うん。うん。うん。わたしもね、浩平のお嫁さんになれて良かったと思うよ」
「……オレもさ、瑞佳の旦那になれてさ、本当、良かったってさ」
「……ちゃんと毎日帰ってきてくれて、好きでいてくれて、嬉しいんだよ」