葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 Round39!!
突然、耳の中がむずがゆくなったので耳掃除をしようと思い、耳かきを探したのだがど
こにも見つからない。仕方がないので長森に借りることにした。門の前に立ちチャイム
を鳴らす。
「は〜い」
聞き慣れた声とともに玄関のドアが開く。
「あ……浩平、どうしかしたの?」
「頼む長森! 耳かき貸してくれ!」
「う、うん、ちょっと待っててね」
長森は俺の唐突な頼みにかなり面食らった様子であったが、それでも耳かきを持ってき
てくれた。
「これでいい?」
「おお、サンキュー長森」
耳かきを受け取ると、その場でいつもようにガシガシ耳に突っ込む。
「ちょ、ちょっと浩平」
「ん、なんだ?」
「そんなに乱暴にすると危ないよ〜」
「そうか? いつもこんな感じだけど大丈夫だぞ」
「貸してっ!」
持っている耳かきを長森がひったくる。
「おわっ! まだ終わってないんだから返せよっ!」
「これ、うちの耳かきだもん」
「なら耳掃除はどうするんだよ?」
「う〜ん、それじゃあね……はい」
少し考えたあと長森は正座をして、太股のあたりを叩く。頭を乗せろということだろう。
「マジか?」
「うん」
しょうがない。渋々ながら靴を脱いで上がり、膝枕に頭を乗せる。
耳かきがそっと耳に差し込まれる。
「痛くない?」
痛くはないが少々こそばゆい。まあ大したことじゃないので、大丈夫だと答えておく。
「浩平、前に耳掃除したのっていつ?」
いつだったけな。えっとあれは確か……。
「一ヶ月前」
「ダメだよ、耳掃除はまめにしないと」
「どうしてだ?」
「清潔にしてないとね、女の子に嫌われるんだよ」
「別に嫌われてもかまわないぞ」
ふっと耳の中から耳かきの感触がなくなり、反対向いてと言われる。
「分かった」
頭を膝枕から一度離し、反対側を向いて頭をおろす。
耳掃除が再会され、その心地よさにまぶたが重くなってくる。
……。
「浩平、終わったよ」
そう言って、揺り起こされる。
「ああサンキュ……」
いつの間にか眠っていたようだ。
まぶたを擦り、体を起こす。それにしても気持ちよかったな。
これなら毎日でもやってもらいたいぐらいだ。
それには長森をその気にさせなければならない。
何か手を考えないとな
……。
よし、決まった! これでいくか。