葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 Round37!!
では既に投票もいたしましたし、以前あさひスレで書いた駄文を投下するです。
時期的には大学祭の直後くらい・・・?
「あたし・・・思うんです」
珍しくするりと出た台詞。すっかり桜の散った舗道も、あさひ自身も、
見事なまでの夕日に照らされて。逆光気味の背中が翳る。
「も、もしかしたら声優じゃない自分がいて、それで、こ、この大学に通ってて
……それで、か、和樹さんに出会って」
「……」
ベレー帽の下で、大きなリボンがふわりと跳ねる。
立ち止まるあさひ。すぅっ、とひとつ深呼吸。
「それでも……和樹さんは、あ、あ、あたしのことをす、す、好きになってくれるのかな、
って……」
スニーカーがきゅっと鳴って、あさひがくるりと振り向いた。逆光の中舞う髪が、そして
リボンが、まるでスローモーションのように見える。
「声優でも何でもない、ふ、普通の女の子のあたしを……えへへっ」
奇妙に揺れる声音でそう言い、あさひはぺろりと下を出して見せた。
おどけて見せてはいるものの、和樹は見逃さなかった。その頬を、滑らかに滑り落ちて
いった輝きを。
和樹の胸を満たしきった想いが、ゆっくりと堰を越えて溢れ出してゆく。
それは、もう止まりそうになかった。
203 :
名無しさんだよもん:01/11/16 00:56 ID:Y79/sxUl
>202の続きです。
和樹はゆっくりと、その華奢な肩を抱いた。そして、まるで壊れ物でも
扱うかのように己が胸の裡へ引き寄せてゆく。
「あ……」
小さなあさひの呟き。しかしそれも和樹の胸の中で暖かく溶けていった。
「いいのか? 本当に、俺みたいな奴でもいいのか?」
うっとりと和樹の胸に顔をうずめながら、それでもあさひは激しく否定の
意を示す。
「か、和樹さんだから、和樹さんでないとだめなんです! あたし……あたし」
「あさひちゃん……」
「か、和樹さん……あ、あたしに、永遠をください……」
和樹の左手が、あさひのおとがいを捉えてた。あさひはきゅっと唇を結び、
瞼を伏せる。
そして、ふたりの影はゆっくりと近づいていった。
暮れなずむ夕日が、そんなふたりを照らしていた。