新スレ立ってたんですね。
クオリティの高さに尊敬。
この連載、ある程度プロット立てて書いてるのでしょうか?
それとも行き当たりばったり?
キャラが鍵っぽくていい感じです。上手い。
テンポもいいし。
何はともあれ、応援してます。
216 :
禿:02/01/12 12:04 ID:sd2bqo+r
がんばれ
圧縮も近そうなのでメンテっと
がんばれsage
219 :
禿:02/01/14 08:27 ID:0Brwgfux
m
凄え・・・・ごのレベルは凄えぞ・・・・・
>25くらいまで鍵があらすじ発表したやつのコピペかと思ってたよ・・・・
思ったんだけど、普通の双子って「お姉ちゃん」て言わないよね。(w
いや、言った方が萌えに繋がるかもしれんし、俺は好きだけどね。
とりあえず、あまり頑張らないで自分のペースでやってください。
神が居るスレはここですか?
223 :
age:02/01/15 23:06 ID:yOdT7C9k
定期揚げ
凄すぎる・・・
涙がでそうだ。まじで。
一週間って長いなぁ…毎日更新の時の忙しさが嘘のようだ。
沢山の方に足を運んで頂き、大変嬉しく思っております。
>>215 実はけっこう行き当たりばったりで書いてます。いや、本当におおまかなプロットはありますが。
細かく展開を考えても、新キャラの発表一つで振り出しに戻ってしまうので…
書き始めた頃は藤林姉妹さえ発表されていませんでした。でも今や外せない存在です(w
>>221 はい、わざとです。おいおい語ることになると思います…大した理由じゃないですが。
…などと、質問にレスしてみるテスト。
それでは、偽クラナド続行です。
「心当たりでもあるのか?」
「あ、ありませんですっ」
「実は古河のよーく知った人だとか」
「そ、そ、そんなことないですよっ」
…バレバレなのに、なかなかしぶといな。
そんなに話したくない理由があるのだろうか?
普通ならここで引くところだが…
俺はあのオッサンのことを思い出していた。
目つきは悪かったが、いい顔で笑っていた。
そこはかとなく怪しくはあったが、悪い人間には見えなかった。
…だから、古河がここまで隠し立てすることに違和感があった。
「…古河」
俺はできるだけ真剣な表情を作り、古河を見つめる。
「友達同士の間に隠し事があるのは、よくないと思わないか?」
「…ぅ」
…俺は卑怯者だ。
こう言えば、古河は拒めない。
それを承知の上での行動だった。
「…実は」
「実は?」
「その人は…」
「その人は?」
俺は急かすように言葉を繰り返す。
「わたしの…お父さんなんです」
「おと…?」
あまりにも意外な返答に、俺は間抜けな声を漏らす。
…お父さんって、父親とかパパとかマイファーザーとか言う…あれか?
「お父さん、です」
古河が駄目押しの言葉を告げた。
…考えてみればありうる話だった。
あのオッサンと古河の間に接点があるとすれば、血縁関係ぐらいしか想像できない。
しかし…それにしては、あまりにも…
「…似てないな」
「…よく言われます」
鋭い目つきが印象的だったオッサンに対して、垂れ目で童顔な古河。
そのルックスは正反対だと言ってもいいだろう。
あのオッサンが狼だとしたら、古河は間違いなくそれに食われる羊の顔だ。
似ているところと言えば…くせっ毛?
「…なあ古河。こんなこと訊くのは気が引けるんだが…」
「実の親子です」
「……」
…言い終わる前に否定されてしまった。
家庭環境が複雑なわけでもないらしい。
「…しかし、なんでオッサン…
いや、古河の親父さんはあんなところに居たんだろうな」
「お父さん、野球が好きなんです」
「…少しはひねれ」
ストレート過ぎだろ、理由。
「だけど、夕方にはまだ店は閉まってないだろ?」
「はい…店番を放って野球しに行っちゃうんです」
「いいのか? そんなんで」
「よくないんですけど…」
「パン買いに来たのに誰もいない、じゃ困るだろ」
「そういうときには、お母さんが接客してます」
「…ああ、そうか。お袋さんもいるよな。そうかそうか」
「…?」
つい、自分を基準に考えてしまっていた。
…そうだよな。普通は母親…いるよな。
「…すみません」
「え?」
俺が思いを巡らせていると、古河が申し訳なさそうに言った。
「…何を謝ることがあるんだ?」
「あの…お父さんが、岡崎さんに迷惑かけて…」
黙り込んでいる俺を見て、怒っていると思ったらしい。
「別に、気にしてない」
「…本当ですか?」
「ああ」
まあ確かに右手は痛かったしパンは多すぎたが…
…やっぱり少し気にしているかもしれない。
そこでいったん話題が途切れ、俺たちは食事を再開する。
俺が熟睡したり、古河が熟睡したりで(寝てばっかりだな…)かなりの時間が経過していた。
俺はともかく古河の食べるスピードは遅い。
あまりのんびりしていると、昼休み中に食べきれなくなるおそれがあった。
「…相変わらず美味いな」
「ありがとうございますっ」
独り言のつもりで呟いた言葉にも、律儀に反応する古河。
…ま、嬉しいんだろうな。
そう言えば…このパンは誰が焼いているのだろうか?
まさか目の前の同級生ではないだろうが…
「…やっぱり、お袋さんが焼いてるのか?」
「えっ?」
「いや、パン」
「あ、パンを作ってるのはお父さんです」
「…そうなのか?」
「はい。もちろんお母さんも手伝ってますけど」
またしても意外な答えだった。
そうか…あのオッサンが焼いたパンか…美味いから別にいいけど。
もっとも、ゆうべの分は量が量だったので味わって食べるどころではなかったが。
…考えてみると、四日連続で古河ベーカリーの在庫(?)処理に従事してるんだな、俺。
このベンチは本当に日当たりがいい。
ふと顔を上げ、太陽の眩しさに目を細める。
俺と古河は、うららかな春の午後を満喫していた。
「…あ、そう言えば」
「なんですか?」
なんとか古河も昼食を終えた頃、俺はふと思い出した。
他でもない、さっきの女の子のことだ。
おそらく知らないだろうが、一応古河に訊いてみることにした。
「古河、四六時中刃物を持ち歩いてる友達とかいるか?」
「そ、そんな物騒な友達いませんっ」
…うーむ、ちょっと質問の仕方が悪かったか。
「古河、彫刻家に知り合いはいるか?」
「彫刻家…ですか?」
「ああ、四六時中刃物を持ち歩いてる…」
「で、ですからそんな物騒な人は知りませんっ」
「いや、持ち歩いてるだけなら物騒とも限らないぞ。
例えば、侍は刀を差してるけど、むやみに振り回すわけじゃないだろ?」
「…わたしにお侍さんの知り合いがいると思いますか?」
「…あるいは」
「いませんっ」
…残念だ。
「…冗談はさておき、本当に知らないか? 彫刻家」
「うー…」
「待てよ、彫刻だけと決まったわけじゃないよな…もっとマルチタレントな芸術家かも」
「…芸術家、ですか」
「お、誰かそれらしいのがいたか?」
「美術の先生だったら…知ってます」
「…この学校の美術教師なら俺だって知ってる」
「いえ、そうじゃなくて…今はもう違うんです」
「…?」
「伊吹先生って言うんですけど…」
「聞かない名前だな」
「…三年前まで、この学校で美術を教えていた人です」
「三年前…」
そのとき、俺はまだ高校に入ってもいない。
古河だけが知っている名前。
「伊吹先生…か。悪いけど違う」
「え? 違う、って…」
「俺が言ってる彫刻家ってのは、この学校の生徒だ。ついでに言えば女子」
…最初にこれを言っておくべきだったな。
「あ…『その人を』知らないか、という意味だったんですね」
「…何だと思ってたんだ?」
「えっと…『誰でもいいから、彫刻ができる人を』探しているのかと」
「なんで俺がそんな…」
「自分の姿を彫刻にして、後世に残しておきたい…とか」
「俺は何者だ」
一瞬、完成図を想像しちまったじゃないか。
俺なんかの彫像を作っても恥さらしなだけだぞ…
「その人の名前はわからないんですか?」
「なにせ口を利いたこともないからな…」
「見た目の特徴とか…」
「なにせぱっと見ただけだからな…長い黒髪をリボンで束ねてた…他には覚えてないな」
「お話をしたことも、じっくり見てみたこともないんですか?」
「ああ」
「…どうして彫刻家だってわかるんですか?」
「初めて見たとき、すでに彫ってたから」
「は、はあ…そうなんですか…」
「…でも、どうしてですか?」
「何が?」
「いえ、どうしてその彫刻家さんを探してるのかな、って」
「あー…」
話せば全然長くはならないんだが…
「古河の寝顔をモデルにしてた」なんて言ったら、古河が過剰に照れるのは目に見えてるしなぁ…
「…もしかして、一目惚れ…ですか?」
「……」
ぺしっ!!
「痛っ…なっ、何するんですかぁ!」
「デコピン(ちょっと強め)」
「うー、技の名前を訊いてるわけじゃないですっ」
…技?
「古河が余計なことを言うからだ。なんでいちいち色恋沙汰につなげようとするんだ」
「そういうつもりはないんですけど…」
「…けど?」
「…気になったんです。岡崎さんがあんまりその人にこだわるから…」
額が痛むのか、それとも別の理由からか、うつむいたまま古河が呟いた。
「大したことじゃない。少し、な」
「…なんだか、ごまかそうとしてるみたいです」
「鋭いな」
「…うー」
「本当に大したことじゃないんだ。気にするな」
古河はまだ不服そうだったが、俺は強引に話を打ち切った。
結局、俺たちは質問の交換だけで昼休みを終えたのだった。
うーむ、ひょっとして古河はやきもちやいてるのかな?
うひょひょーかわいいなあ
このスレ、今日偶然発見。ネット放浪はこれがあるから…
この書き手の方に幸あれ、こころから。
以前スレ立て相談スレで駄スレだったココを紹介した者でございます。
当時はスレのタイトルが雰囲気に合うかどうかと不安でしたが、
今ではそれに相応しい、凄く充実した内容ですね。
スレ汚しを懸念して今まで書き込みを自粛していたけど、やはり素晴らしい。
毎回続きが楽しみっすよ。これからもがんばってください。
>「…もしかして、一目惚れ…ですか?」
うお、渚萌え(笑)。続きが楽しみです。
続いていたなんて・・・旧スレ消えた時に抗議とかしちゃったものです。
一気に読んじゃいました。これからも頑張って下さい。
というか、私は旧スレを読んでみたい……………。
倉等
240 :
ヤホーイ:02/01/18 20:18 ID:Uy5eaFQT
OHP、サブキャラ3名追加。もう、頑張ってくれとしか言いようが無い。
まだまだ増えそうだし。
242 :
名無しさんだよもん:02/01/19 01:08 ID:qh+1hNB9
期待sageたと思わせてage
一日一メンテ
やっと読み終わった〜
続き楽しみですわん。
杏たん萌え。
245 :
名無しさんだよもん:02/01/21 18:27 ID:NiEZIoSt
メンテage
246 :
221:02/01/21 20:47 ID:6QR1zpQM
なるほど狙ってですか。(w
センター明けメソテ
>>246 懐かしい言葉だ。だがあえて言う。
(・∀・)カエレ!!
>>247 3浪した人にその言葉はヒドイんじゃないカナ?ないカナ?
とか言ってみるテスト
編入とか再入試とかってのもあるよね。
神、神はまだかー!
がんばってください。応援してます。
本気で。
>>247 いや、すんません。京大志望で2浪と高校で留年(入院で日数足りず)してます。
今年も駄目っぽいです。(;´Д`)
>>251 自分も今年ダメそうだ。お互いがんばろ。
そこまでこだわるという事は、やりたいことがあるということだからがんばるしかない。
きあいだおー
>>251 1さんもまたーりとがんばってくださいです。
1じゃなく、偽クラ書きの神だたーよ。
毎度有り難うございます、週に一度の偽クラナドです。
また新キャラが…増えましたね。
覚悟を決めて行くことにします。はい。
受験生の皆さんも頑張ってくださいね。
ではでは、偽クラナド続行です。
「岡崎さんには、夢ってありますか?」
別れ際、古河が唐突にそんなことを訊いてきた。
「…夢?」
「はい」
「…特にないな」
「そうなんですか…」
古河が残念そうに呟く。
「古河の夢は?」
「えっ」
「そんな話を持ち出してくるからには、あるんだろ?」
「は…はい、一応…」
「教えてくれ」
「そ、それは、その…」
…煮え切らない奴だなぁ。
「…は、恥ずかしいから秘密です」
「…なんだよ、そりゃ」
「ひ、人に言うと叶わなくなるって言いますし…」
それは夢じゃなくてお願いだと思うが…
ほのかに頬を染めたまま、古河は背中を見せた。
特にこだわりがあるわけでもないんだが…ちょっと気になるな。
…夢、か。
ずっと昔には、色々とあったような気もする。
けれど今は…
古河の姿が見えなくなり、午後のチャイムが鳴り始めるまで、俺はぼんやり突っ立っていた。
教室には穏やかな朗読が響いていた。
ノートを取るかすかな音がそれに伴う。
窓からの暖かな陽光が、生徒たちを眠りに誘っていた。
「…朋也ぁ」
陽平が気の抜けた声で話しかけてきた。
「お前さ、なんでこの授業のときだけは寝ないんだ?」
「失礼なことを言うな。それじゃまるで、他の授業のときは寝てるみたいじゃないか」
「みたい、じゃなくてその通りだろ。なあ、なんでだ?」
「…別に、深い意味はない。わかったらもう黙っててくれ」
「ふぇーい…」
俺に会話を続ける意思がないことを知ると、陽平はそのまま机に突っ伏す。
今まで睡魔と戦っていたのだろう、ほどなく寝息が聞こえてきた。
…まあ、陽平の言いたいこともわかる。
五時限目の現代国語。普通ならもっとも居眠りに適した時間だ。
だけど、それをためらわせる理由が俺にはあった。
教科書から顔を上げ、壇上に立つ人物を見る。
口髭をたくわえた温厚な表情。
幸村俊夫という名のこの先生の授業だけは、眠らずに聞くことを心がけている。
「…この一文から、当時の漱石の心境が読み取れると思います。
病を抱え、余命いくばくもないと悟った彼は…」
幸村先生――俺は親しみを込めて「幸さん」と呼んでいる――は、マイペースに言葉を続けていた。
一年の頃に比べれば、最近の俺はずいぶん丸くなったように思う。
それは幸さんの力によるところが大きい。
訳もなく苛立ってばかりいた俺に、幸さんは根気強く接してくれた。
それによって俺の物の見方が少し変わった。
相変わらず遅刻癖は治らないし、クラスでも浮いているが、あの頃の自分よりはずっとマシになったと思う。
恩返し、なんて言うつもりはないが、せめて幸さんの授業くらいは真面目に聞こうと決めた。
そのおかげか、現代文だけは人並みの成績が取れるようになった。
…あくまでも平均点ぎりぎりでしかないから、得意科目なんて言えるレベルじゃないけどな。
古めかしい文体を目で追っているうち、授業の終わりを告げる鐘が鳴った。
「…それでは今日はここまで。漱石に興味を持った人は、他の作品もぜひ読んでみてください」
いつものように読書を奨励する言葉を残し、幸さんが教室を後にする。
去り際、こちらに視線を送ってきたように見えたのは、たぶん俺の気のせいだろう。
「ぐー」
…隣の席から、あからさまないびきが聞こえてきた。
わが世の春、といった風情で――いや、実際春なんだが――まだ眠っている陽平がいた。
俺はその頭に軽くチョップをかます。
「…ぬおっ!? 敵襲か!?」
「どこの戦国武将だ、お前は」
「…何をするか、朋也殿」
殿は余計だ、殿は。
目を覚ました途端に冗談が出るとは、こいつもある意味凄いな。
…ある意味、な。
「次の時間、英語だろ。寝てたらうるさいぞ」
「…ん、そうだな。しかし朋也に起こされるとは…なんか悔しいな」
…やっぱり、放っておけばよかったか。
全ての授業とホームルームが、終わった。
荷が下りたような開放感。
上体を反らすと、背骨がぽきぽき鳴った。
「朋也、今日はどう…」
話しかけてきた陽平が、奇妙なところで言葉を切る。
「…じゃあな」
「待て」
立ち去ろうとした陽平の鞄をつかむ。
「なんでいきなり帰ろうとする」
「野暮なこと訊くな」
「…野暮?」
顔をしかめる俺に、陽平が指を突き出す。
俺はその延長線を目で辿っていく。
やがて振り向いた瞬間、彼女と目が合った。
「あっ…」
「…藤林?」
俺のすぐ後ろまで迫っていたのは、ショートカットの少女――椋だった。
「…ま、そういうことだ。さいなら」
「待てっ。陽平、お前は絶対に何か誤解している」
「朋也、あんまり女の子を泣かすなよ」
「だから、違うっ」
なんでこれだけの材料でそう早合点できるんだ!?
「あのっ…」
そのとき、椋が小さく声を上げた。
声に反応し、俺と陽平の視線が椋に集まる。
…そう言えば、どうして椋が俺のところに?
杏と違って、俺のことを敬遠しているはずなのに…
何か用事でもあるのだろうか?
「…どうした?」
俺は出来るだけ優しく問いかける。
椋はしばらく口ごもった後、決心したように口を開いた。
「きょ…今日は、ありがとうございましたっ」
「…へ?」
「あの…体育の時間に…」
「ああ…あのことは別に気にしないでくれ。
礼だったらもう言ってもらったしな」
「あ、あのときは時間がなくて…ちゃんとしたお礼が言えなくて…」
「だから、いいって…」
俺は苦笑しながら椋を制す。
そんなに感謝されるようなことをした覚えはない。
あまり気を使われると、こっちが申し訳なくなる。
場の空気に閉口したのか、陽平が黙って背中を向けた。
と…
「あっ、待ってください」
椋が陽平を呼び止めた。
俺も驚いたが、陽平自身が一番意外だっただろう。
振り返ったその目は大きく見開かれていた。
「…俺も?」
「は、はい」
椋がおずおずと、しかし確かに頷いた。
「…岡崎さんと春原さんに、謝らないといけないことがあるんです」
「謝る?」
「…今まで、お二人のことよく知りもしないで、不良だと思ってました」
俺と陽平は思わず顔を見合わせる。
「…いや、それ、間違ってないと思うぜ」
「でも、岡崎さんは親切にしてくれました」
「あれは杏に頼まれたから…」
「その前にも心配して、わざわざ声をかけてくれましたし…」
「…そんなことしてたのか、朋也」
「あ、あの場合は仕方ないだろ」
「…とにかく、誤解してました。ごめんなさい」
椋が深々と頭を下げる。
「だ、だからそんなにかしこまらなくてもいいって」
「つーか、俺は何もしてないし」
慣れない状況に、俺も陽平も勝手がわからなかった。
「お姉ちゃんが言ってました。岡崎さんも春原さんも悪い人じゃないって。
でも、素直にそれを信じることができなかったんです。
今日のことでやっと解りました」
「あー…だからさ。俺たちが不良だってのは別に間違った認識じゃないし。
謝ったりしなくていい」
「でも…」
「ま、評価を改めてくれるのは嬉しいけどな」
そこまで言うと、俺と陽平は話を中断し、一気に席を離れる。
「あっ…?」
俺たちは呆気にとられる椋を残し、急ぎ足で教室を出た。
教室を出ると、すぐに俺たちは走り出した。
行く当てなどない。
「廊下走るな」と書かれた、センスの古い張り紙を横目に、俺たちはダッシュした。
「…朋也」
「なんだ?」
「なんで逃げるんだよ」
「お前こそ」
「…決まってるだろ? 苦手なんだよ。ああいうの」
そう、俺たちは椋から逃げたのだ。
まさか追ってはこないだろうが、一応距離をとっておきたかった。
「…なんつーか、ホント真面目でまっすぐなんだな、あいつは…」
「なんだ陽平、惚れたのか?」
「惚れるか、あほっ! 俺みたいなこと言うな」
「自覚してやってたのか、お前はっ!」
走りながらにも関わらず、なぜか会話が成立していた。
「…でも、まあ、ああ言われて悪い気はしないよな」
「だったら逃げたりするなよ。また印象が悪くなったらどうするんだ」
「だから、それはお前も同じだろうが」
「俺はお前が逃げるのを見越してだな…」
「俺だってそうだ」
…不毛なやりとりだった。
それからさらに少し走って、ようやく俺たちは立ち止まったのだった。
ついに爺さん登場ですか…(・∀・)ガンバッテ!