旅行中に入れたいシーン。
――温泉から部屋へと戻る。
ふすまを開け、中に入ろうとした俺だったが、さっきまでは室内に無かったものが有るのに気付いて足を止めた。
布団である。 ふた組。
旅館の人が敷いておいてくれたんだろう。
瞬間、納得して足を踏み出しかけ、再び止まる。
ふた組の布団は――くっつけて敷かれていた。
その意味。
いや、二人で旅行になど来ておいて何を今更、とは思うが、それでもやはり、他人に「あの二人は付き合っている」と観られたのかと思うと、また別の感慨が有る訳で。
戸口で硬直する俺に、七瀬は後ろから、
「どうしたの?」
「いや、それがな」
中の様子を示す。 七瀬は首を傾げながら中を窺った。
「……?」
すぐには「その意味」が判らなかったらしい。 きょとんとしていたが、
「……っ!」
気付いたようだ。 絶句している。 元々上気していた顔が更に紅く染まって行く。
「え、えと、これは、あのその」
「まぁ、そういう事だろうなぁ」
「うくっ」
明朝のチェックアウトの時には、「昨晩はお楽しみでしたね」とか言われたりするのだろうか。
こんな感じで。 何だか脱線してますが、ともかく、気を効かされたことに対する七瀬の初々しい慌てぶりを見たいのでした。
って、でも、サウンドドラマなら台詞と効果音だけで状況が判るようにしないと駄目ですね。