葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round31!!

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733Knon ◆CRTknonE
丘を出ようとしたとき、後ろに何かの気配を感じた。
「・・・・・狐か」
狐は2匹、じゃれ合うように雪の上を転がっていた。
楽しそうだった。あの頃の真琴と俺を見ているようだった。
少し近づく。すると狐は一匹の方はこちらに気づいたのか、
逃げ出してしまった。しかしもう片方は逃げない。
こちらをまっすぐ見つめている。
「悪かったな、友達逃げちまったぞ。」
俺はさらに近づき、その狐を抱き上げる。
昔の真琴もこれと同じだったのか、と思うとおかしな気分になる。
「・・・・おまえ、真琴のこと知らないか?」
その狐は不思議そうにこちらを見つめている。
「知るわけないよな。・・・・本当にあいつの存在は一瞬の煌き、
ってやつだったんだもんなぁ。」
俺はさらに言葉を続ける
「本当に、うるさいやつだったよ。あいつは。・・・おまえは静かな奴だなぁ。」
狐は黙って、見つめつづけている。
「きっと、こっちでもうるさいやつで評判だったんだろうな・・・・。
でもドジだから、笑って周りも許してくれるんだろうな。あいつは
笑うことは得意だからな。」
日は夕暮れの赤を示し出している。
「・・・・だから・・・・今もどこかにいる気がするんだよな・・・・」
ぴろがいなくなった日のように、ひょい、と顔をだして、
「ごめん、ちょっと道にまよっててさー」
って。そんな気がいつもしていた。
夜中に物音がすれば、真琴だといつも思ってしまう。
「馬鹿だよな・・・俺はよ・・・」
狐は何も言ってくれない。
狐を何度かなでる。ぎゅっと抱きしめて、その狐の体温を感じる。