葉鍵板最萌トーナメント!!1回戦 round29!!

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300輝く季節だよもん ◆LTFWoEiA
「………」
わたしは無言で考える。これはつまり……でもそんな馬鹿なことがあるわけ……
「…雪ちゃん? どうしたの?」
不安そうなみさきの声。
わたしは頭を軽く振った。
「希望があるんだか、絶望しかないのか良く分からない話ね」
「……やっぱりそうかな」
「でも、お姫様はまだ待ち続けてるわけよね」
「うん、まだ待ち続けてるよ」
「なら、いつかは想いが届いて遊び人が帰ってくると思うわ」
「ゆ、雪ちゃんもそう思うのっ?」
みさきは急にわたしの方に身を乗り出す。
「ええ、きっと遊び人は帰ってくると思うわ。…だからその日までがんばりなさい、みさき」
「え!?」
ポカンとした顔をするみさき。
「今のおとぎ話、お姫様がみさきで、遊び人が折原君なんでしょ」
「そ、そうなんだけど、何で分かったの」
「みさきの行動パターンは単純なのよ。普通に話しても信じてもらえないだろうと思って、
 おとぎ話という形で話すことにしたんでしょ」
「う、うん」
「で、その折原君が消えたのはいつのことなの?」
「え、えっと、浩平君が消えてからもうすぐ一年になるよ」
それを聞いて私はちょっと腹が立った。
「どうしてもっと早く相談しないのよ。この一年一人でずっと悩んでたんでしょ。とっととわたしに相談して楽になればいいのに」
「だ、だって、信じてくれないと思ったし」
「まあ、確かに普通ならとても信じられない話だけど、でもみさきが真剣に話してるからわたしは信じるわ」
「ありがとう。ぐすっ。雪ちゃん。ぐすっ」
みさきがわたしの胸に抱きついてくる。
301輝く季節だよもん ◆LTFWoEiA :01/11/09 01:41 ID:XqiUioMT
「こらこら泣かないの。もう」
そう言って、わたしはみさきの頭を撫でる。
一年間誰にも相談できずに悩んでいて、そのストレスがどっと出たのだろう。
わたしはみさきが泣き止むまで、ずっとみさきを抱いていた。

しばらくたった後、みさきが顔を上げる。
「もう大丈夫?」
「うん。……服ビショビショにしちゃってごめんね、雪ちゃん」
「いいわよ、別に。服の一つや二つ。…で、これからどうするの?」
「……明日は浩平君の卒業式だから、行ってみようと思うんだ。もしかしたら卒業式に出るために帰ってきてくるかもしれないし」
「そう。帰ってきてくれるといいわね」
「うん」
願わくば、折原君にみさきの想いが届きますように。
わたしは強くそう思った。