葉鍵板 最萌トーナメント!!一回戦 round26!!

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812Aqua ◆Aqua/C.E
「……浩平は、まだ永遠を望んでいるのですか?」
「え?」
「いつか訪れるかもしれない別離を恐れて、そんな永遠を望むのですか?」
「……茜」
「私は……嫌です」

静かに見つめる茜の目。そこに宿る感情の色。
「私は、消えていった人を待つのは……嫌です」
「茜……そんな意味で言った訳じゃない」
「……それに浩平は、まだ考え違いをしています」
「え?」
「浩平は、ずっと居たいと言ってくれました。でも、それじゃ駄目なんです」
「……」
「今一緒に居る。この限りある時間を共に居る。そう考えて欲しいです」
「……」
「今一瞬の時間。そして明日から続いていく時間を……私は一緒に歩いていきたいです」
「……どう違うんだ?」

茜は瞼を閉じた。
そこに映るのは出会った頃の浩平。そして今の浩平。
同じ人なのに、同じ姿なのに。
そこに映る浩平は、確かに同じじゃない。
813Aqua ◆Aqua/C.E :01/11/06 16:03 ID:inDsRP7l
「今日と明日は違う日です。そこには今とは違う何かがあるはずです」
「それは『同じ』じゃないんです。永遠は、変わらないから永遠なんです」
「私は、移りゆくその時間を見ていきたいんです。……浩平と一緒に」

風に乗った言葉と想いは何処に通じているのだろう?
運び去られた言葉が届く、その先は?

「……茜」

ゆっくりと目を開ける。
「そうだな。俺が悪かった」

そこにあったのは、優しく微笑んでいる浩平。
「俺は茜と一緒に居たい。これからも、ずっと」
「……はい」
「そして同じ時間、同じ空の下で、茜と一緒に居る」
「……はい」

「でも……」
「でも、それは茜も一緒に歩いてくれるから。これから一緒に居てくれるから」
「そして、一緒に時間を刻み続けるから」

「望むんじゃないんだ。そうしていくんだ。そうなんだよな、茜」
「……その通りです」
814Aqua ◆Aqua/C.E :01/11/06 16:04 ID:inDsRP7l
言葉は風に乗って、そして辿り着く。
その先はどこに繋がっているのかは判らなくても、想いは届く。

茜の目に微かに涙がにじむ。
誰も気付かなくても、それでも気付く人はいる。
それは、これからも一緒に歩いていく人だから。
限りある時間の中で、一緒に過ごしていく人だから。
望むだけではなく、それを創りあげていく人だから。

うん、と大きく頷くと、浩平は悪戯っぽく笑った。
それは全てを理解した目。
そして変わりない平凡な日常をいつまでも覚えておくための儀式。
新たにした誓いを守り抜くための、浩平なりのおまじない。

「確かに、いつも同じじゃつまらないよな」
「……はい」
「だったら、その髪型を変えさせてくれないか」
「嫌です」
「いつもと違う茜が見たい」
「それとこれとは、話が違います」
「同じじゃつまらないだろ?」
「自分で髪を伸ばして、編んで下さい」
「……俺が三つ編み? 頑張れば出来るのか?」
「……そんな浩平、嫌です」
「そうだよなぁ。俺だって嫌だ」