葉鍵板 最萌トーナメント!!一回戦 round26!!

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809Aqua ◆Aqua/C.E
小道を吹き抜ける風が心地よい。
冷たくもなく、暖かくもなく。
静かに流れる時間と風。
いつもと同じように通る帰り道。
小川のせせらぎ。木々のざわめき。
昨日と同じ。しかしどこか違う今日の景色。
茜と浩平はゆっくりと帰り道の光景を楽しんでいた。

永遠の世界からの帰還。
それは、お互いが望んだからこそ叶った奇跡。
本当の幸せに気付いたから、再び出会えた二人。

そして会えなかった時間を取り戻すかのように、二人は共に歩んでいる。

それは、まるで時が止まったかのような、静かな日々。
かつて永遠を望み、そして拒絶した少年と、永遠が終わる事を望んで待ち続けた少女。
共にあることに幸せを見いだした二人だった。

幸せな時間はいつまでも続いて欲しい。
他愛のない、心からの願い。

「いつまでも、こうしていたいな……」
ふっと呟く声も風に流される。

「俺は、ずっと茜と一緒に居たい」
810Aqua ◆Aqua/C.E :01/11/06 16:02 ID:inDsRP7l
そこにある想いは、本物。
しかし、その想いは永遠を望む気持ち。
これからの時間を共有したいという願い。
心からの本当の想いは、永遠を望んでいる。
それは、かつて忌避したはずの永遠。

「……浩平。そんな事を言わないで下さい」
「……茜?」
「私は……嫌です」
「茜?」

茜の口調に驚いたように浩平は振り向く。
普段と同じ声なのに、普段とは違う声。
絡み合う2つの感情。
茜はその視線を静かに受け止めた。

「私は、嫌です。ずっと、だなんて嫌です」
繰り返し口から出てくる言葉。
静かに風に乗って、それは浩平の耳に届く。
「……それは、どういうことだ?」

驚き。困惑。悲しみ。怒り。
浩平に浮かぶ様々な表情。
茜はその全てを、目を逸らさずに見た。