>>420より
「そういえばあいつ、最近見かけないけど、何してるんだ?」
きょとん、としたような間。
やがて、思い出したように、
「詩子ですか?」
「ああ。なんかここのところ暫く見かけないからな」
もちろん、奴は他校の生徒なのだからここで見かけないのは当然なのだが。
それを当然とも思えなくなるほど、奴はいつも俺たちと一緒にいた。
「さみしいんですか?」
「そんなんじゃないって。いない方が落ち着くくらいだろ。かえって」
「詩子も、忙しいみたいですから」
「そりゃあ、あれだけ学校サボってりゃな」
「大丈夫ですよ。ああみえて私なんかよりずっとしっかりしてますから、詩子は」
信じ難かった。
「でもま、今はあいつがいなくて良かったかな」
「どうしてですか?」
「だって、こんなところあいつに見られたら何言われるか…」
その後の想像は簡単である。
つづく