葉鍵板 最萌トーナメント!!一回戦 round18!!

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322名無しさんだよもん
「うぐっ…」
「どっか、行こうか」
「遅いわよっ、こんな時間じゃぁ…!」
浩平は、留美の全てを受け容れるつもりで優しく問いかけた。
「…七瀬は、どんなところに行きたかったんだ?」
「ダ…ダンスパーティーとか…」
「ダンスパーティー…?」
「あ、憧れっ…」
そこでは女の子が誰でもお姫様になれる、か…。
となるとオレも王子様にならないとな…。
浩平は決断した。
「よし、踊ろう、七瀬」
「え?」
留美は思わず浩平の顔を見上げた。
「ほら、手を出して。お姫様!」
「あ………」
「ほらっ」
浩平は半ば強引に手を取り、泣いている留美をベンチから立ち上がらせた。
しかし、ダンスなどろくにしたことのない浩平は、そのまま立ちつくすしかなかった。
323名無しさんだよもん:01/11/01 22:01 ID:26b+ZxuW
「で…どうすんだ?」
「………」
「どうすんだ、七瀬っ」
「…こ、こうかなっ」
留美はしぶしぶと浩平の背にもう一方の手をまわし、そしてゆっくりとステップを踏み出した。
「ばかっ、そっちじゃないっ、こっちっ」
「こうかっ…?」
「そ、そうっ…」
浩平は留美の王子様になろうと必死だった。
お世辞にもダンスとは言い切れないちぐはぐな動きだったが、二人は一生懸命だった
ごちんッ!
「さすが七瀬、いい頭突きだ…」
「わざとじゃないわよっ! そっちのステップが間違ってるのよっ!」
「ん、こうか…?」
ごちんッ!
「いたぁっ! やり返すことないじゃないっ…!」
「いや、そんなつもりじゃっ…」
それからも二人はお互いの足を踏んだり、頭突きをしたりと優雅とは言えないダンスを続けていた。
324名無しさんだよもん:01/11/01 22:01 ID:26b+ZxuW
しばらくすると浩平もようやくコツがつかめたらしく、留美をリードするようになる。
ふたりの息が合ってくると、頭突きの回数も減ってきた。
「いい感じだな」
「うんっ…」
「七瀬…」
「うん…?」
浩平は留美の顔に口を寄せた。
「あ…」
留美は拒まなかった。
お互いの唇が、唇に触れた。
「七瀬…」
「うん…」
初めてのキスがキムチ味だったのはがっかりだが、浩平が留美をお姫様にしてくれたのだ。
(折原が、私の王子様…?)
留美は先ほどとは違う涙が目から溢れてきたので、踊りながらさりげなく浩平の胸に顔を埋めてしまった。
月が輝く夜空で、浩平と留美は二人のダンスホールでいつまでもいつまでも踊っていた。