葉鍵板 最萌トーナメント!!一回戦 round17!!
「はあっ……」
口を開くとため息が漏れる。
「あたしってばなにやってんのかな」
今日は12月24日、クリスマス。街は家族連れや恋人同士、友達同士で楽しもうって
人たちで賑わっている。
けれど、あたしは瑞佳たちの誘いも断って、ひとり相も変わらずここで待っている。
あいつを。突然消えてしまった折原を。
ふと目線を上げると色とりどりのイルミネーションに染め抜かれた噴水が見えた。
そこは去年のクリスマス折原とダンスを踊った二人きりのダンスホールだった。
そんな大切な思い出を思い返すように噴水へと近づく。
噴水の前に立ってみると、そこは一年前と変わらなくて、あいつがあたしのそばにいる
ような気がして、思わずステップを踏んでしまう。
だけど、それに合わせて踊ってくれる折原はやっぱりいない。
分かっていたはずなのに。それなのに……折原がここにいないという事実はあまりに重
くて、涙が零れ落ちる。
張り詰めていた感情はいったん崩れ始めると容易に崩れ落ちてしまう。
「折原ぁ、早く迎えにきてよ……独りっぼっちにしないでよぉ……」
言葉にならない思いが涙となってボロボロこぼれる。
折原がいなくなって初めてあたしは泣いた。
悔し泣きじゃなく、嬉し泣きじゃなく、悲しくて泣いた。人生で初めての大泣きだった。
そうして感情をすべて吐き出してしまうと不思議と落ち着いた気持ちになった。
あいつはいい加減なやつだったけど約束を破るようなやつじゃなかった。
だから、あいつがいつ帰ってきてもいいように笑っていよう。
折原がその笑顔を見て笑い返してくれるように。
というわけで七瀬に一票です。