葉鍵板 最萌トーナメント!!一回戦 round13!!

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939名無しさんだよもん
お母さんは無言で私の左手を一瞥した。
「もしかしたらと思ったんだけど…」
それが第一声だった。
「え?」
「まあいいわ…」
ため息混じりの声を吐き出す。
明らかに落胆した表情だった。
そして、さして興味なさそうにつけ加える。
「明日から修練が始まるからね」
それが、私が切望していた瞬間の全てだった。
お母さんは一度も私の名前を呼んでくれなかった。
そして、私がお母さんのことを『お母さん』と呼ぶことも許さなかった。
この施設の中で、私は『C‐112』。
お母さんは『C‐79』。
それがこの施設での規律だとお母さんは言った。
お母さんは熱心にFARGOの教えについて語ってくれた。
話の内容は理解しがたかったけど、それでも私は幸せだった。
だって、私のがんばりを見てくれる人がすぐそばに居るのだから。
お母さんとまた暮らすことができたのだから。
特製の手料理を食べることはできなかったけど…。
お母さんと居るだけで毎日が充実していた。