葉鍵板 最萌トーナメント!! 一回戦 round6!!

このエントリーをはてなブックマークに追加
719名無しさんだよもん
「マーナちゃんっ」
「……何よ」
 三限目の鐘が鳴り、礼を済ますと、私はマナの机の側にちょこんと座り込んだ。
 今の時間の途中から教室に現れたマナは授業中からずっと不機嫌そうな顔をしていたが、私が話し掛けると一瞬表情を緩ませた。
「あのね、ちょっとお願いがあるんだけど」
「はいはい。……教科は?」
「さっすが、話がわかるぅ」
 私は後ろ手に持っていた数学の教科書を机に広げた。呆れたようにマナが肩をすくめる。
「もう次じゃないの。で? どの問題?」
「ここ、ここ」
 私は開いたページの一区画を指差した。
「あっきれた。ノブコ、全然授業聞いてないでしょ」
「へへっ、わかる?」
 ホントに呆れられてしまった。私はちょっと愉快になった。
「もう……これはね、まずf(x)の分母と分子をxで割って――」
「ふんふん……あ、そっか! ありがとーっ!」
 私は立ち上がって、ペンを握ったままのマナの手を取り、ブンブン上下に振った。
「ちょ、ちょっとやめなさいってば!」
「やーだよっ!」
 マナが困った顔をするのが面白くて、調子に乗った私は腰を屈めてマナの額にチュッと唇を当てた。
「なっ……!?」
「んー? 観月さん、もしかして照れてますねー? ひょっとしてレズっ気でもあるんでしょうかー?」
「わ……悪ふざけもいい加減にしてよねっ!」
「そうだぞ、寺田」
「ひっ!?」
 気がつくと、数学の先生が背後にいた。
「あんまり悪質なセクハラを受けるようなら誰か女の先生にでも相談してみたらどうだ、観月」
「考える余地はありそうね」
「……マナちゃ〜ん」
 少し離れた席に座っているイズミがバーカ、と口を動かしたのが見えた。