弥生さん@篠塚

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435控え室@休憩時間
 いまは幕間の休憩時間――。
 前半を終えて、やっぱりというべきか、弥生さんの旗色は良くなかった。
冬弥「やっぱり千鶴さんは強いですね」
弥生「そうですね。あの方には背負ったものがありますから」
由綺「あ、でも、これをきっかけに弥生さんに興味を持ってくれた人もいるよ。
    千鶴さんに入れた人だって、弥生さんのことを嫌いなわけじゃないんだし」
弥生「お気遣いありがとうございます、由綺さん。
     それに、これはお祭りなのですから、どんな状況でも楽しんだ方が勝ちです」
由綺「う、うん。そうだよね…。楽しまなきゃだめだよね」
弥生「私は、楽しいですよ…」
 楽しんだ者勝ち…か。
 よりによって、なんて弥生さんに似合わない言葉なんだろう。
 由綺は旗色の悪い弥生さんをなんとか励まそうとしていた。
 そして、弥生さんはすべて解った上で、由綺の配慮に応えている。
 ふたりが、お互いのことを気づかっていた。
由綺「いい応援もたくさん出てるし、これからだよね」
冬弥「そうですよ。まだ半分ちょっとなんですから」
弥生「はい」
 涼しい顔をしている弥生さんより、俺はむしろ由綺の方が気になって同調した。

 そし後、仕事のある由綺が先に退出して、控え室には俺と弥生さんが残った。
冬弥「やっぱり、あまり気にしていないんですね」
弥生「私は…、この状況を楽しんでいます。それだけですわ。
     藤井さんからも仰って下さい。由綺さんがあまり気にしすぎないように」
冬弥「分かってますよ…。言われなくても、由綺の面倒はちゃんと見ます」
 ちょっとした空白の後――。
冬弥「じゃあ、がんばってください」
弥生「はい、ありがとうございます」
 そうして、俺たちは同時に席を立った。