げほ、げほ……
水瀬家の二階、俺の部屋。静かな部屋に俺の咳き込む音だけが響く。
ああ、風邪だ。昨日の晩から熱っぽい感じはしてたけど、いよいよ本気で熱が出てきた、かぁ。
朝、いつもの目覚まし交響楽ががんがん頭に響く。とても学校行く気にゃなれんな……。
いつもどおり名雪が起きてこない、それに加えて俺まで起きてこないことに気がついた秋子さんは、体温計の結果と
照らし合わせて「今日は休みなさいね」と言ってくれた。
名雪、あとのことは頼む。猫にかまわずちゃんと学校行くんだぞ……。
静かな午前中。秋子さんが持ってきてくれた朝ご飯と薬を飲んだおかげで、朝方よりは熱は下がった。とはいえまだ
体は熱っぽいままだし、近所を車が走ると頭に響くのは変わらない。
やることもないので目を閉じうつらうつらしていたら、額に冷たい感覚が。
目を開けて見ると、そこにはいつもの微笑をうかべて俺を見つめている秋子さんが。額の感覚は多分濡れタオルだな。
「あ、すみません……」
「いいえ、祐一さん、風邪引いているんですから」
「お仕事とか……」
「大丈夫。家族の看病くらいできなきゃ、世帯主は勤まりませんよ?」
いつもの微笑み。
この女性はいつもそうだ。
つらいこと、困ったこと、苦しいこと、大変なこと、そんなすべてをその穏やかな笑顔で流してしまう。
高校生で親の反対を押し切って結婚し、名雪を生み、夫に先立たれ、娘を女手ひとつで育て……。ことばのうえでは
彼女の人生は分かっているつもりだけれど、自分がそうした道のりを歩んできたとしても、こんな笑顔を浮かべられ
るようにはなれそうもない。彼女の笑顔は、壊れかけた水瀬家をずっと包み込んできたのだ。
そして俺は、そんな彼女のことが子供のころから大好きだった。
「おおきくなったらあきこさんとケッコンする」なんて台詞も口にした覚えがある。
俺にとって彼女は「叔母」というよりは「年上のお姉さん」であって、大人の女性という言葉で思い浮かべるのはい
つも彼女のことで、そして10年の月日を経て再会した彼女は、あのころの美しさをいまだにちっとも失っていない
わけで……。
そんな彼女が、俺をあの微笑みで見つめている。ちょっとだけ、目尻が熱くなった。
それを拭こうと俺は身体を動かした。「あら、どうしました?」と、秋子さんも訊いてくる。
「いえ、なんでもないです……」と答えつつ、布団から手を出して目尻を拭おうとした。
熱は思ったより俺の身体を蝕んでいたのかもしれない。思うように手が動かず、上げた手はタオルをひっかける。
ぽとり、とタオルが奥側に落ちた。
「あらあら」秋子さんがつぶやき、それを取ろうと身体を伸ばす。
穏やかな空気の中の何気ない行為。
俺は子供のころを思い出していたし(そういえばここに来ている最中に風邪を引いて、こんなふうに看病してもらっ
たこともあったっけ)、それは多分彼女も同じだっただろう。
しかし彼女が滑り落ちたタオルを取ろうと俺の上に身体を伸ばした瞬間、俺は現実の俺に引き戻された。
いや、引き戻されることを余儀なくされた、というか。
彼女が伸ばした身体、その下からは俺の視線。彼女の身体を包むピンクのセーター、それを盛り上げる胸、そのふく
らみが……俺の目の前にあった。
熱に浮かされた俺は、その魅惑的な光景の誘いを抑えきれず、いや抑えようとせず、彼女の身体を……抱きしめた。
きゃ、と彼女の声。ピンク色に染まった視界、顔全体を包む柔らかい感覚、かすかなコロンの香り。
「ゆ、祐一さん……?」
彼女の戸惑う声。俺は彼女を抱いたまま、思い切り身体をひねった。
不安定な姿勢だった彼女がその新しい動きに耐えられるはずもない。回転する俺に巻き込まれるようなかたちで、彼
女と俺はベッドのなかにもつれこんだ。
仰向けになった彼女に上から抱きつくかたちになったところで、俺は動きを止めた。
「ゆ、祐一さん……?」
「秋子さん、……秋子さん、」
うわごとのようにつぶやく俺。彼女を抱きしめ、その胸に顔をうずめ、五感を彼女の存在に集中させていた俺に、そ
れ以上の言葉が湧き出てくるはずもない。
「だめ、です……」そう彼女がつぶやいた瞬間、俺の中でなにかが外れた。
秋子さんの背中に回していた手が、セーターの中に潜る。ブラウスのすそを引き出す。スリップのなかにすべりこむ。
想像以上、信じられないほどなめらかな肌。凶暴な感情に駆り立てられ、俺の両手は彼女の背中を走る。
一瞬でブラのホックに手がかかる。ぷちん、とそのいましめを解く。「あっ、……」彼女の声。
背中に差し入れていた手のひらを前にずらす。俺にとって長い間、あまりにも魅惑的だった双丘。その上に俺の手が
かかる。掌の中心をくすぐる突起。両手の指すべてを使ってその柔らかさを味わう。
俺の下半身はすでに熱く熱くいきり立っていた。薄いパジャマの布地を超えて、タイトスカートに包まれた彼女の太
ももに熱いそれを擦り付ける。激しい上下動が俺のパジャマを、そして彼女のスカートをずらしていく。
ぽろり、とそれが転がり出たところで、俺は彼女の両足の間に自分の腰を割り入れた。
勢いに任せて腰を滑らせ、肉棒のさきを彼女のももの付け根にまで寄せ、突き上げる。
「だ、だめ、祐一さん……っ、くぅ」突き上げた先端が彼女の最奥を突いた。ぬるり、とした熱い感覚。下着の弾力
に阻まれはしたものの、彼女の割れ目は俺のそれを迎える用意ができていることを告げていた。
「ぬ……濡れて、る?」
「う、嘘……」
俺も彼女を嬲りたかったわけじゃないし、彼女もからだの反応を否定しきれるわけでもなかった。
セーターを、ブラウスを、スリップをまくりあげ、ぷるん、と外気に震えた双丘の頂点にむしゃぶりつく。
半分ひっかかったままのブラの上から、歯で乳首を転がす。
「くっ、くうっ、くぅん……」
普通に舌でなぶるよりも強い刺激。きめ細かい布地に激しく擦られる普段なら痛みを覚えるかもしれないような刺激
にも、彼女は快感の声をあげた。
「そ、そんな、祐一さん、やめ……て」
喘ぎの合間に彼女は制止の声をつむぐ。ただ、それを聞き入れるなんてこと、俺はそんなつもりはなかった。
すでに彼女の身体には火がついている。その声にもいつもの穏やかさはない。
言い換えれば、もういまさら止めたところで、もとの距離には戻れない、そういうことだ。
俺は彼女のおんなの部分を見てしまったし、彼女は俺の情欲の視線を知ってしまっている。
彼女の声に応えて身を離せば、もはや二度と彼女に近づくこともないだろう。
10年以上抱きつづけた想いだ、どうせ砕け散るのなら……!
下着の中、熱く濡れた秘裂に指をこじ入れる。淫液をからめた指の腹でその割れ目の一番上の辺りをなぞる。
そこにたしかな突起の存在を認め、じんわりとこねた。そしてもう一方の手と舌で、両方の乳房を責める。
昨夜来からの寝汗の臭いが気になるが、その代わりに彼女をむさぼる。
首筋に唇を這わせる。ほつれた髪が舌をくすぐった。
彼女の耳元で息をつぐ。おんなの髪の匂い、脂の匂い、肌の匂い、そして彼女がつけているだろう何かの芳香。
それを吸い込むたびに胸の奥のむずむずした感覚がより強くなる。
そしてその興奮は、俺の股間のそれの興奮をさらに加速させていく。
すべらせてきた舌を、その勢いのままで耳に這いずらせる。耳たぶをなぞり、耳孔に差し入れた。
「んっ……くぅう、あっ……」彼女が身をよじる。
すでにまくれあがったタイトスカート。俺は彼女に身をからめながら、その腰のところの留め金を外した。そして、
一気にファスナーを下ろす。固定する要素を失ったスカートは、俺と彼女のこすれあう肌に引きずられて下へと降
りてゆく。
適当なところでかのじょの下着に手をかけた。服を着たときのみかけからは想像もつかないほどの尻まわりのボリ
ュームにはややてこずったが、ともかくこうして彼女から秘所を守るものすべてを俺は奪いとった。
そんな彼女の太ももの間に腰を割りいれる。暴発寸前まで猛ったアレが彼女の脚の肌に擦られて震えた。
半分くらい自分の淫液にまみれて光を放つ下腹の翳り。
たわわな乳房を放り出し、俺の責めに理性を失いかけつつある彼女。
その最後に残った理性が彼女に制止の声を上げさせ続けている。が、その声にはすでに力なく、とぎれとぎれでし
かない。むしろ身体のほうは、秘唇をなぞる俺の獣欲の誘いに敏感に反応しつつある。クリトリスをかるく指でた
たくと、それにはじかれたように彼女の腰がはねた。
「あぁ……、ゆう、いち、さん……、だ……め……」
ちょっと手を休めると快感の切れ間を理性が埋めるのか、また制止の声が途切れ途切れに上がる。
しかしその声も俺がさらなる刺激を与えるまでのわずかな時間しか続かない。秘裂をくじり、乳首を転がし、首筋
を舐め、背中を撫で、そうした刺激が彼女のわずかに残った理性を吹き飛ばそうとする。
嬌声をあげてしまわないよう、彼女が耐えているのは素人目にも分かった。耐え切れない刺激だけが彼女の理性を
突き崩す。そしてその淫らな声そのものが、俺と彼女の色欲をますますかきたてていくのだ。
俺は彼女の首筋から身を離した。上気した瞳で状況の変化に戸惑う彼女。
離した身はそのまま下にずれる。俺の視界にさっきより濡れぼそった翳りが見えた。
「……秋子さんっ!」搾り出すようにそれだけ言うと、俺はその翳りに顔をうずめた。
淫液のわずかな酸味。熱を帯びた肌のもたらすむわっとした熱気。秋子さんのいつもの姿からは想像もつかない、
猥らで魅惑的な感覚だ。その奥に舌を割りいれる。さっきまで指を入れていた淫裂のなかで息づく突起を舌がとら
えるや、彼女の身体が揺らいだ。
彼女の腰周りを抱え込む。外見的には名雪と大差ないようで、実際の存在感は天と地だ。
なめらかで柔らかなその存在をがっちり抱え込んだところで、俺は舌に力を込めた。
「ゆ、祐一さ……ぁあ、あ、あっ、あ、あ、だ、だめ、あ、あ、い、いや、やぁ、あぁ、ぁう、うっ……」
秋子さんの嬌声に一気に切ない音色が混じる。全力かつピンポイントにクリトリスを責めたてたのだ。
見る間に彼女の乱れ方が激しくなっていく。秘唇を満たす淫液の量が増した。
俺をおしのけるつもりで頭にかけた手は、すでにその用をなしていない。彼女の嬌声の高まりに合わせて俺の頭皮
をかきむしるだけだ。その嬌声ももはや抑えるそぶりは見えない。
腰は何度も激しく跳ねた。がっちりと尻まわりを抱えていなかったら弾き飛ばされてたかもしれないくらいに。
上体のうねりはもう止まらない。乳首を転がしていた手は何度も目標を見失った。
腰が跳ね、力のこもった秋子さんの腕と相まって俺の舌を彼女の秘裂に押し付けんばかりの勢いだ。
「あ、あぁ、んっ、あ、あぁ、だ、だめ、ゆ、うっ、くぁ、あ、あっ、……」
俺の汗の臭い。秋子さんの匂い。淫らな粘膜の触れ合う匂い。秋子さんの、あのいつも穏やかな微笑みを浮かべて
俺たちを見守っていた彼女の、その笑顔の下の生々しい嬌声が、俺の舌の動きをますます加速させる。
「あ、あ、も、もう、あ、だめ、こん、な、い、い……っ!」
天井知らずに切なさを高めていく嬌声が途切れた。いまやがっちりと俺の頭をかかえこんだ格好の彼女の下半身が、
がくがくと震えた。背筋・首筋が反り、突き出された胸の双丘がゆらゆらと揺れた。
一瞬の静寂ののち、彼女の全身が崩れ落ちる。荒い息づかいだけを残して彼女の身体から力が消えた。
はじめて見る、あの秋子さんの陥落の姿だった。
淫液のわずかな酸味。熱を帯びた肌のもたらすむわっとした熱気。秋子さんのいつもの姿からは想像もつかない、
猥らで魅惑的な感覚だ。その奥に舌を割りいれる。さっきまで指を入れていた淫裂のなかで息づく突起を舌がとら
えるや、彼女の身体が揺らいだ。
彼女の腰周りを抱え込む。外見的には名雪と大差ないようで、実際の存在感は天と地だ。
なめらかで柔らかなその存在をがっちり抱え込んだところで、俺は舌に力を込めた。
「ゆ、祐一さ……ぁあ、あ、あっ、あ、あ、だ、だめ、あ、あ、い、いや、やぁ、あぁ、ぁう、うっ……」
秋子さんの嬌声に一気に切ない音色が混じる。全力かつピンポイントにクリトリスを責めたてたのだ。
見る間に彼女の乱れ方が激しくなっていく。秘唇を満たす淫液の量が増した。
俺をおしのけるつもりで頭にかけた手は、すでにその用をなしていない。彼女の嬌声の高まりに合わせて俺の頭皮
をかきむしるだけだ。その嬌声ももはや抑えるそぶりは見えない。
腰は何度も激しく跳ねた。がっちりと尻まわりを抱えていなかったら弾き飛ばされてたかもしれないくらいに。
上体のうねりはもう止まらない。乳首を転がしていた手は何度も目標を見失った。
腰が跳ね、力のこもった秋子さんの腕と相まって俺の舌を彼女の秘裂に押し付けんばかりの勢いだ。
「あ、あぁ、んっ、あ、あぁ、だ、だめ、ゆ、うっ、くぁ、あ、あっ、……」
俺の汗の臭い。秋子さんの匂い。淫らな粘膜の触れ合う匂い。秋子さんの、あのいつも穏やかな微笑みを浮かべて
俺たちを見守っていた彼女の、その笑顔の下の生々しい嬌声が、俺の舌の動きをますます加速させる。
「あ、あ、も、もう、あ、だめ、こん、な、い、い……っ!」
天井知らずに切なさを高めていく嬌声が途切れた。いまやがっちりと俺の頭をかかえこんだ格好の彼女の下半身が、
がくがくと震えた。背筋・首筋が反り、突き出された胸の双丘がゆらゆらと揺れた。
一瞬の静寂ののち、彼女の全身が崩れ落ちる。荒い息づかいだけを残して彼女の身体から力が消えた。
はじめて見る、あの秋子さんの陥落の姿だった。
俺の汗じみたベッドの上に、そのたわわに実った肢体を投げ出す秋子さん。
唾液だか淫液だかなんだかで顔の下半分が濡れていることに気がつき、俺はあごを手で拭った。
力なく横たわる彼女の身体に身を重ねる。開かれたままの両足の間に腰を沈め、彼女の秘唇に俺はペニスをあてが
った。風邪の熱のせいか、それともこの衝撃的な光景のせいか、すでにそれはいつ爆発してもおかしくない。
腰を沈めようとしたところで、秋子さんが苦しい息のしたから俺を呼んだ。
「ゆ、うい、ち、さん……」
「……?」
静止の声をあげるのは分かりきっていた。血のつながった叔母と甥だ、禁忌を冒すことになるのは言うまでも無い。
邪な想いに身をゆだねた俺が一方的に悪いのだ。だからこのベッドの中では彼女の言葉を聞き入れるつもりはなか
った。そのはずなのに、今俺は彼女の次の言葉を待っている。不思議なもんだ。
しかし、その次の言葉は意外なつながりだった。
「もし、どう……しても、したい、んだったら……、せめて、うしろ、に、して、ください……。わたし、今日、
ダメな、ひ、だから……」
「うん、……わかった」
彼女の、禁忌を踏み越える覚悟の上での願い。
それを聞き入れることで、せめてここまで彼女を引きずり込んでまったことへのほんの少しでも罪滅ぼしになれ
ば、と思った。
勝手な、理屈だけど。
まだ力が抜けたままの秋子さんの身体。
俺は投げ出されたその白い脚の間に座る。淫裂を下から見上げるかっこうだ。
恥丘の翳り、彼女の秘所、蟻の門渡り、そしてその奥の秘肛。すべてがぬらぬらと光を反射している。
彼女の腰を俺のひざの上に据えた。下半身を突き上げたかたちだ。両足のつくるトライアングルのなかにのぞく、
秋子さんの肌はほんのりと赤みがさしている。重力に引かれて太ももが開き、つられて淫裂もぱっくりと口をあけ
ている。鮮やかな生命の色。
その下に潜む秘肛に、俺は自分の肉柱をそえた。
「いきますよ……」そう囁いて、腰を沈める。
彼女の顔が一瞬ゆがみ、意外なほど簡単に彼女のうしろは俺を導きいれた。
入り口の抵抗感も思ったよりは少ない。彼女が進んで俺を受け入れたあかしだ。
ゆるやかな締め付け、体内のからみつくようなうねり。
俺は彼女の胸に自分の胸板を合わせた。その動きにつれて腰も揺れ、彼女がわずかに喘いだ。
柔らかく暖かな彼女の胸。熱っぽい体にしみた外気を押しのけてくれるようだ。
彼女の背中に腕を回す。白い肌のラインを俺の指が歪めていく。なんて柔らかな、なめらかな、その身体。
くわえ込んだまま彼女の体温を感じるのもいいが、いいかげん爆発しそうな腰はそうした穏やかな展開を許してく
れない。その命じるままに数度突き入れると、彼女はこらえた息の下から確かに身悶えた。
秋子さんが、お尻で、感じている……!
その時頭によぎったのは、いつか見た学生時代の彼女の写真。今と変わらぬ笑顔、その穏やかで可憐な姿。
あの写真を撮ったときから数年を経たずして、彼女は名雪を生む定めにあった。
あの微笑む彼女がそのほんのわずか後に、俺の知らない誰かにそのすべてをさらす決意をして……。
今、秘肛をえぐられて悶えているということは、少なくとも「彼」にはその異常な行為を自分から許したわけで……。
あの、彼女が。
俺が知っている彼女はそうした秘め事の記憶を抱えた彼女だったわけで……。
突如、俺の中に凶暴な感情が沸き立つ。それに俺は身を任せた。
彼女を抱きしめる腕に力がこもる。それまでゆるやかに彼女の喘ぎを呼び覚ましていた腰の速度が一気に跳ね上が
った。
「はぁ、あ、あぅ、うっ、そ、そんな、きゅう、にっ……!」彼女の戸惑う声。
「秋子さん、秋子さん、秋子さんっ……!」下半身の感覚を奪う快感をこらえつつ、俺の声がもれる。
今、俺の腕の中の彼女。その彼女がかつて誰かにその身を委ねた。
その当然の事実が、たまらないほど許しがたいものに俺には感じられた。
突然の快感に、シーツを掴む彼女のしなやかな腕。俺は彼女を抱いている腕を一方ずつ使って、彼女の腕を俺の背
中に回させた。布の代わりに俺の背中を掴んでほしかった。
じわりと涙をにじませる彼女の目尻。俺は首を伸ばしてそのしずくを舐め取る。
「あ、あぁ、ふぁ、ぁあ、あっ……」
喘ぎが速度を上げるにともない、そのしずくもつぎからつぎへとあふれてくる。
「……あ、秋子さんっ!」
せめて彼女の唇を奪おうと顔を寄せると、彼女は首を左右させて拒む。
たまらない寂寥感。俺は無理やり彼女の口唇に自分のそれを重ね合わせた。舌で唇を割り、思い切り吸い上げる。
たまたま同時の突き上げで力が弱まっていて、彼女は舌ごと俺に吸い上げられるかたちになった。
流れ込んでくる彼女の唾液。俺にとっては至上の甘露だ。
吸い上げた舌、引き戻されないように自分の舌を絡める。どこからどこまでが俺の口だか、それもわからない。
突き上げるたびに喘ぎが伝わる。舌を絡めあっていれば隠すことなどできはしない。
「んー、んっ、んんっ、んっ、んっ、んっ、うんっ、ん、ん、ん、」
漏れる声。俺の肉棒にからみつく彼女の体内。ぶつかり合って形をゆがませる双丘。
肉棒を飲み込みつつ、打ちつけられる俺の腰を柔らかく包む彼女の柔尻。
俺の背中に回させた彼女の手がぴくぴくと震える。
涙を流しつつも、彼女の舌は俺の舌との淫猥なダンスを止めない。
理性とは別の衝動に突き動かされてお互い跳ねあう腰。
俺自身の爆発も近いことを悟り、腰の突き上げ速度を限界まであげる。
その瞬間、彼女の腕が俺の背中を掴んだ。食い込む爪の感覚もいまなら心地よい。
「あきこさん、あきこさん、あきこさん、あきこさん……っ!」
「あぁ、あたし、も、もう、ゆ、ゆう、ゆういち、さんっ……!」
互いの名を呼び合った刹那、俺は彼女の体内で弾けた。同時に彼女も二度目の絶頂を迎える。
世界が何か別の色で塗りつぶされた。
どれほどそのままでいただろう。
「も、もう……離してください」そう彼女はつぶやく。
「……嫌だ」俺は応えた。
彼女の体内に打ち込まれた杭はそのままだ。不思議なことにあれほど精液をぶちまけたにもかかわらず、彼女の
体内の肉杭の硬さは衰えるどころかますます力を増している。
「お願……ぁんっ」つぶやく言葉をさらなる律動で封じる。
もう一度唇を重ね、今度は彼女の口内に侵入していく。
さらなる快感を求めて。そして彼女のこころを塗りつぶしてしまうまで。
今日は秘肛を。いつかは彼女のすべてに、俺の爪跡を残すまで。
そう、彼女を、俺ひとりの彼女に変えてしまうその日まで……。