「く、ぅく、んん、は、ぁ……!」
氷上の舌が、七瀬の秘唇を蛇のように這いまわる。
その異様で生暖かい、鳥肌が立ちそうな感触に、七瀬は歯を食いしばり必死に耐える。
「ひっ!?」
ぬめる舌の先が、七瀬の花芯を軽くつつき刺激を加える。
その度に、ビクリビクリと七瀬の腰が、跳ね上がる。
手首を後ろ手に拘束された七瀬の抵抗は、しなやかな両脚をばたつかせることのみ。
それにしても、仰向けに寝かされた状態では、虚しく空を切るばかり。
「くうッ!!」
ビクリ。宙を舞っていた裸の左脚がピンと張る。
指で花芯をつままれ、舌で攻撃を加えられ。
その度に、首が仰け反り、身体を震わせ、脚を舞わせ悶え苦しむ。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
「すごいねキミ。どこを触っても弱点だらけ」
「う、うるさ………っっはぁ!」
揶揄を返そうとする七瀬の唇を、秘唇を責めて、黙らせる。
「こうやって、彼にも可愛がってもらったのかな?」
「!!」
かああっ!
ツインテールを振り乱し、悶えていた七瀬の面差しが、さらに真っ赤に染まりゆく。
「へえ、図星みたいだね。なら」
「っくぅぅっ!」
「こんなことも……れろっ……されたのかな?」
「ぅぅくぅ………ぅ、ぅ、は、っぅく……!」
七瀬の弱点、鍛えられし太股の盲点・内股をくすぐりながら、七瀬のもう一つの弱点・
乳首を優しく甘噛みする。
上半身、下半身のウイークポイントを同時に責められては、性的経験の極めて薄い七瀬
が、到底耐えられるはずもなく。
「く、ぅっく、ん、は……!」
歯が鳴るほどにキツクキツク噛み締めて堪えようとするが、背中から伝播される桃色の
電流が、七瀬の呻きを喘ぎに変えて。
「っは!、あ、あ、ああ……!」
そして七瀬留美最大のウィークポイント、秘唇にそっと指が入る。
既に経験済みの七瀬の唇は、さほど抵抗もなく受け入れて。
さらにもう一方の指が、七瀬の花芯に添えられる。
「それじゃ、行くよ」
氷上の言葉が伝わる刹那、七瀬の肢体が跳ね上がり。
「は、あ、あ、あ……!」
瘧にかかったような、喉から漏れる七瀬の喘ぎ。
「ぅあ、あぅあ、ぁぁぁあ!」
ツインテールを振り乱し、虚空に脚を苦しげに舞わせ。
瞼を固く閉じて、懸命に耐えようもするも。
「あ、は、あ、く、あ、ああぁぁ……っ!」
喉を引き攣らせ、背を逸らせ、脚を張り、絶頂に、絶頂に――
「……、ぇ?」
汗に濡れし面差しを、七瀬は疑問符を顔に浮かべる。
砕かれかけていた。絶頂に昇りかけていた七瀬。
その寸前に。指が、舌が、止められる。
「な、なに……、っはぁ、ぁ!」
やや間を置いて繰り出される攻撃。
再び襲い来る快感の津波が、華奢な七瀬の身体を打ちつけ飲み込む。
が、またしても絶頂寸前で、その身体が覚まされる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
3度目。
4度目。
何度も何度も。
絶頂に昇り駆ける度に氷上は、その責めを止め裸身を冷ます。
そしてある程度冷めたと見るや、再び七瀬の弱点をついた酷な愛撫で、絶頂寸前まで追
い上げる。
「ぁ……ぁ……ぅ……、……ぁ……」
もはや息も絶え絶えの七瀬。
全身は快感という名の苦痛によって、脂汗が止まらずに。
肌は既に、無限の性感責めで桃の色に染まりきり。
「…っぁ!」
ほんの少し触られただけで、苦痛の喘ぎを止められず。
ビクリビクリ。
快感という名の電流に打たれ焦がされた七瀬の肢体が、ビクリビクリと痙攣す。
そんな中。
氷上シュンの、今までと同一人物とはとても思えぬ優しい声音で、囁いた。
「降参すれば助けてあげるよ? どう?」
この場合。
降参とは、七瀬唯一絶対の目的を、断念することを刺す。
心から好きな、アイツと再び出会うという目的を。
「キミは本当に頑張ったよ。もう彼も許してくれるさ」
「……ぅ……ぁ……、……っぁはぁぁ!」
降伏勧告をしながらも、七瀬の喘ぎを絞り出す。
「まあ、降参しなかったら………わかってるよね?」
ビクリ。
身体が痙攣する。無限の電撃という耐え難い地獄を前に。
「さ。どうする? 留美ちゃん?」
「ぅ………」
ことさら名前で、そう呼びかける。
ビクリ、ビクリ。
もう十数度にもわたるお預けにより、七瀬の身体は悲鳴すら枯れ。
お願い、もう耐えられない!
そんな悲鳴すら出せないほどに。
「さ、どうする?」
氷上の最後通告に。
七瀬は。七瀬留美は、最後の力を振り絞り。
「な………ナメないでよ…ね……、
……アタシ、ナナセ……、……ナナセ、ルミ……、なん、だ、から……、……っ」
「――――――っっっっぁぁぁぁぁ…………っ!」
七瀬の最後の意地とともに。
氷上の最後の一撃が、七瀬の快感の堤防を、いともあっさり打ち崩した。
「参った。……僕の負けだよ」
身体を拭いて、服を着せ。
最後の一撃で失神した七瀬を、すっかり元の状態にもどし。
彼の特徴、淡い笑みをそっと浮かべ、美術室を音もなく去る氷上シュン。
――彼は戻ってくるよ。
深き眠りについている七瀬に、彼は優しく囁いて。
こっちの世界に来た奴らも、ここの世界に戻れるんだ。
ここの世界の誰か一人でも、本当に、本当に帰って来て欲しいと、そう願えば。
だから大丈夫。きっと彼は戻ってこれる。
「ね? ――ナナセ・ルミさん?」